【声明】ガザ:国連総会、安全保障理事会に今こそ人権侵害の不処罰を克服するために行動を求める

ヒューマンライツ・ナウは、2011年11月29日付けで、下記ステートメント

「ガザ:国連総会、安全保障理事会に今こそ人権侵害の不処罰を克服するために行動を求める」

を発表いたしました。

本書は、玄場外相ほか、外務省 中東アフリカ局,総合外交政策局、に郵送いたします。

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ガザ国連総会、安全保障理事会に今こそ人権侵害の不処罰を克服するために行動を求める

 

多くの民間人を含む、1400名もの人命が奪われた2008年12月27日から2009年1月18日までのガザ紛争から二年半以上が経つ。

 

これまで国連による様々な調査が行われ、多くの決議が採択されたにもかかわらず、この重大な国際人道法及び国際人権法違反の被害者に対する正義は未だ実現されておらず、その責任者は誰も起訴されていない。

 

東京に本拠地を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、国内機関による調査には深刻な限界があることに鑑み、被害者の正義と補償を確保し、不処罰を打ち切るために、国連を含むすべての当事者が具体的かつ有効な措置を速やかにとる必要があると考える。

 

紛争の両サイドが、迅速、実効的な、国際法に基づく独立調査を国内で実施していないこと、国際犯罪の容疑者を起訴していないことは明らかである。被害者の正当な権利を実現するために、国際刑事裁判所が役割を発揮する以外の選択肢はない。

 

2009年に、この紛争に関する事実調査の報告書(ゴールドストーン報告書)が公表され、国連総会は同報告書の勧告に基づき、イスラエル及びパレスチナ側に「3ヶ月以内に、事実調査団が報告した国際人道及び国際人権法の深刻な違反に関する、国際基準に立脚した独立し信ぴょう性の高い調査を実施する」ことを求める決議を採択した。この期限は延長されたにも関わらず、イスラエル及びパレスチナ側はこの決議を履行していない。

 

HRNが以前の声明で指摘したとおり、イスラエルの調査には情報公開、被害者や目撃者の参加及び調査対象等において重大な懸念が残る。

 

ゴールドストーン報告書は、イスラエルによる攻撃は一般市民に向けられた意図的で不均衡な攻撃であり、このような軍事行動の第一義的な責任は考案、計画、命令、監督した者にあると結論付けたが、イスラエルはこのような者に対する法的調査を全く行っていない。

 

国連人権理事会が任命した独立専門会委員会の報告書が示す通り、両当事者にこのような調査をする能力あるいは意思がないことは誰の目にも明らかである。

人権理事会第16回期は、第66会期国連総会に対し、ゴールドストーン報告書を安保理に提出するとともに、ローマ規程13(b)に基づき、この事態をICC検察官に付託するよう勧告することを求めている。

 

HRNは、国連総会に対し、国連人権理事会から求められた重要な役割を果たすこと、そして、安保理に対し、国連憲章第7章の下に行動し、ローマ規程第13bに基づき、この事態を国際刑事裁判所検察官へ付託することを要請する。

 

重大な国際人道法及び国際人権法違反を放置し、不処罰を長期化させることは、当該地域における紛争の平和的及び永続的解決をより困難にするものである。

和平を推進する上で最も大切なことの一つは、当該地域の人々の人権が回復され尊重されること、そして国際法に従った公正な和平を推進することである。

私達は、国連事務総長、安保理理事国、国連全加盟国が、国際的な法の支配を実現し、不処罰と闘うための確固たる役割を果たすことを要請する。