5月19日 民主党政策調査会法務部門会議会合
【政府側の見解】
HRN以外のヒアリング対象は、外務省山花郁夫政務官および辻阪高子人権条約履行室長、法務省黒岩たかひろ政務官でした。(会議には小川法務副大臣も同席しました)外務省からは個人通報制度の実現に前向きな発言がなされました。
法務省からは、現在、外務省の担当である山花政務官との間で密に連絡をとりあい、批准について検討をしている、との報告がありました。
黒岩政務官からは、論点整理を行っている事項として、
1 個人通報制度の結論が確定判決と異なる場合どうすべきか
2 個人通報制度は国内救済を尽くしてからなされるのが原則であるが、国内の司法救済が期待できないもしくは著しく遅延している場合は国内救済を尽くすことなく申立てがされ、結論がでるが、その場合の対処
3 暫定的特別措置が取られた場合どう対応するか
4 個人通報制度で結論が出た事例について裁判官等にどう伝えていくか、
などの点について協議している、今後外務省以外の他の省庁とも関係会議を開催する必要がある、などの発言がありました。
(会議の様子は
黒岩政務官 http://www.t-kuroiwa.jp/blog/
山花政務官 http://blog.livedoor.jp/yamahana190/
辻恵法務部門会議座長 http://www.tsuji-ganbaru-sakai.jp/index.php?UID=1305799005
のウェブサイトに掲載されています)
【HRNからの訴え】
HRN伊藤事務局長からは、個人通報制度の実現は国際社会の趨勢であり、日本は取り残されている。個人通報制度の受け入れにより個別事件が救済されることを通じて、国際スタンダードと日本の人権状況の乖離を埋めることもでき、人権に関する議論がより進展する、として民主党のマニフェストに基づき一日も早く批准することを求めました。
会議では、民主党国会議員の間からも、早期批准を求める意見が相次ぎました。
「自由権規約批准後30年以上かけてこれまで実現できなかったが、これ以上一刻も猶予なく批准してほしい」
「タイムスケジュールを明確にして批准に向けた作業をしてほしい」
さらに、
「国連人権理事会の定期的審査が実施されると予定される2012年までという予定は視野にあるのか」
「月単位でなく日単位でがんばってほしい」
との意見が出されました。
なお、外務省のHPには、昨年12月にHRNが主催した個人通報制度に関するシンポジウムに寄せた山花郁夫政務官のメッセージが掲載されており、
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/22/eymh_1209.html
政府が真剣な検討をしている状況が示されています。
【今後について】
外務・法務省とも、批准に積極的と言いつつ、民主党政権発足後1年以上経過しても批准が実現していないのが、個人通報制度をめぐる状況です。ヒューマンライツ・ナウでは、一日も早く、人権条約の個人通報制度が実現するよう、ロビー活動などをさらに展開していく予定です。
HRNのこれまでの活動・要請文については、以下をご参照ください。
http://hrn.or.jp/activity/1631/