【活動報告】子どもの権利プロジェクトのご紹介

世界では、児童労働、人身売買、商業的性的搾取をはじめとした、子どもに対する深刻な人権侵害続いています。

ヒューマンライツ・ナウ「子どもの権利プロジェクト」は、子どもたちの人権を守るため、次のような取り組みをしています。

 

 カンボジアにおける人身取引禁止法の条文解説についての取り組み

 

 カンボジアでは、主に性的搾取を目的とする人身売買が横行し、子どもを含めた多くの人々が深刻な人権侵害を受けています。

 こうした状況を打開すべく、2008年に新しい人身取引禁止法が施行されました。事態の改善には、法の適正な運用が重要であることから、「子どもの権利プロジェクト」では、その条文解説(コンメンタール)の作成を行いました。カンボジア政府・ならびに現地で人身取引の廃絶に向けての活動を行っているカンボジアや日本のNGOに提供することで、法が適正に運用され、事態が改善されるよう取り組んでいます。

 

人身取引禁止協定についての取り組み

 

 アジアでは、性的搾取や強制労働を目的とする人身売買が横行しており、被害者及び加害者の移動は多国間に及んでいる場合が多くあります。このため、一国での人身売買の取締・被害者救済は非常にむずかしく、多国間における協力が必要不可欠であると思われます。

 また、日本人が買春することで加害者になる例や、日本で売春をさせるためにアジア諸国の人身売買被害者が日本へ連れてこられる例など、日本が関与する人身売買被害は多く、日本とアジア諸国との協力体制作りも必要です。

 現在、タイとカンボジアの間に人身取引禁止協定が制定されています。この協定をもとに、カンボジアとベトナム、カンボジアと中国などの二国間でも協定がつくられています。しかし、未だ日本とアジア諸国の間の人身取引禁止協定はありません。人身取引の中継国となっているタイ政府からは、日本政府に対し「タイとの人身取引禁止協定をつくってほしい」との要望があります。

 そこで、「子どもの権利プロジェクト」では、タイと日本間の人身取引禁止協定の制定を目指して素案を作成しました。今後はこの素案をもとに、外務省との折衝を開始し、同時に対政府からも日本政府へ締結へのより強い働きかけを行ってもらうよう、タイ政府関係者とも折衝を行い、制定実現を目指していきます。

さらにその後2国間のみではなく、アジア全体の地域協定をつくることを目指しています。

国内における多言語ホットラインの実現に向けての取り組み

 日本では、アジア諸国から売春目的などで連れてこられ、外部に助けを求めることのできない孤立した中で悲惨な人権侵害に遭う被害者たちがいます。この事態の改善のために、まずその被害者たちが外部に助けを求めることができるようにすることが重要であり、そのために国内で多言語ホットラインを開設することが必要です。

 このホットライン開設にむけて、専門家や国際移住機関などから実態の聞き取り・協議を行い、早期の実現を目指しています。

 

 

インド北東州の児童労働に関する取り組み

 

  インドの北東部に位置するメガラヤ州の炭鉱では、ネパールやバングラデシュから約7万人以上の子ども達が人身売買によって連れてこられ、過酷な労働で働かされているという現状があります。

 ヒューマンライツ・ナウは、現地のNGOからの調査依頼を受け、2010年6月に現地調査を行いました。

今後も、他のNGOと協力をして、インド政府及び州政府、インド国内の関係諸機関、国際機関、メディアなどあらゆる方面に働きかけをし、子どもたちが置かれている状況の改善に取り組みます。