【意見書】環境社会配慮のための国際協力銀行ガイドライン改訂に向けての提言書~人権保障の観点から~(2008/2/1)        

環境社会配慮のための国際協力銀行ガイドライン改訂に向けての提言書~人権保障の観点から~        

ヒューマンライツ・ナウは、国際協力銀行(国際金融等業務)及び日本貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン改訂にあたり、以下のとおり、意見書を作成して提言を行いました。

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提言の要旨 (意見書全文はこちら>>
080201jbicguideline.pdf

 

1 相手国内・プロジェクト対象地域の人権状況の把握を行うこと

基本的な考え方として、相手国国内・プロジェクト対象地域の自由権及び社会権に関わる人権状況(ステークホルダーによる認識も含む)を把握し、適切なプロジェクト実施に関わる確認に反映すべきである。

2 プロジェクト実施主体の社会配慮基準に関する態度を審査すべきこと

基本的な考え方として、JBICがプロジェクトの社会影響配慮確認をするにあたって、プロジェクト実施主体の社会配慮に関する基準を実施する意思及び能力について審査すべきである。とりわけ、プロジェクト実施主体のコンプライアンス規定に、提言4でふれる労働における基本原則及び権利の擁護、腐敗防止、国際的に宣言されている人権の擁護を支持し尊重することが含まれているかを審査すべきである。

3 ステークホルダーとの協議について

プロジェクト実施主体とステークホルダーとの間で協議が実施される前提として、相手国国内及びプロジェクト対象地域において、言論の自由、集会の自由及び知る権利が実質的に保障されていることが確認されなければならない。そして、住民らの自由な意思による参加を妨げる状況が存在する場合には、プロジェクト実施主体において、その障害を除去するための適切な配慮がなされなければならない。

4 非自発的住民移転

非自発的移転にあたっては、移転措置によって不均衡な影響を受けやすい女性、子ども、老人、貧困層、先住民族等のいわゆる社会的弱者に対し、特別な配慮がなされなければならない。

5 プロジェクトに伴う労働状況

プロジェクトに伴う労働状況について、労働における基本原則及び権利(強制労働の禁止、児童労働の禁止、結社の自由の保障、差別禁止)が保障されていることを確認するべきである。

6 プロジェクトの相手国の歳入・歳出に与える影響について

対象プロジェクトが生み出す収益が政府の歳入に大きな影響を与える場合は、それが貧困削減の努力やガバナンスに悪影響を与えないかどうか確認する必要がある。とりわけ、対象国が採取産業透明性イニシアティブ(EITI)に参加している場合は、その実施状況を確認すること、そうでない場合でプロジェクトが相当の歳入への影響を与えうる場合は、EITIへの参加を働きかけること。また、政府のガバナンス向上努力や貧困削減の努力について情報収集を行い、貧困削減の努力やガバナンス改善に悪影響を与えるリスクが高い場合は、支援を行わないこと。

7 異議申立期間の再検討

ガイドラインに基づく異議申立てを意思決定前から可能となるよう、異議申立手続要綱に定める異議申立期間を再検討すべきである。