【NYイベント報告】10月27日 FIT講演会

 

去る10月27日、Fashion Institute of Technologyにて、杉本佳子さんの司会のもと伊藤和子氏による講演会を開催しました。

 

杉本さんとの対話形式で行われた同講演会では、伊藤氏より2012年11月にバングラデシュの主都ダッカにあるタズリーンファッション社の衣料品工場の火災事故では、夜勤中の労働者が職場から逃げないよう外から鍵がかけられていたために100名以上の労働者が閉じ込められ焼け死んだこと、2013年4月にダッカ郊外で起きたラナプラザ・ビルの倒壊事故では事故の前日にビルに大きな亀裂が入り、労働者は恐がり出社したくないと訴えたにも関わらず、無理矢理出社させられために、倒壊により1100人を越える労働者が生き埋めになったことを例に挙げ、発展途上国にある有名ブランドの下請工場の劣悪な労働環境についての説明がありました。

また、2014年にヒューマンライツ・ナウが現地のNGOと協力し、中国にあるユニクロ縫製工場の潜入調査に行ったところ違法な時間外労働や劣悪な労働環境が明らかになったこと、その調査発表と勧告後のユニクロの対応や、潜入調査をどのように行ったかについての説明もありました。

 

発展途上国は、違法労働についての基準が甘かったり、そもそも国内法がない国もあるため、まず国内法を改善する必要がある。しかし、縫製業は基幹産業であるため、外資を呼びたいがために基準を甘いままにしたり、外資産業の方も国内法の規制が緩く賃金が安い国に流れていったりと、解決が困難な問題であることの説明がありました。

 

もっとも先進国も決して法律が整っているわけではなく、現代奴隷法のあるイギリスを始めとするヨーロッパ諸国に比べるとアメリカは遅れており、日本でも実際ヒューマンライツ・ナウが日本のファッション業界の60の企業に対して行った人権ポリシーの有無についてのアンケートに対し、人権ポリシーはないと堂々と回答する企業もあったりと人権対策が徹底されていないとの報告がありました。さらに、日本では外国人技能実習生に対し、最低賃金よりはるかに低い賃金で働かせたり、パスポートを取り上げ小さな部屋に閉じ込めて働かせたり、福島の除染作業にまでさせていた企業もあったり、不服を申し立てた実習生を強制的に帰国させている例もある旨の報告もありました。

 

当日ご参加頂いた方はファッション業界の方が多く、質疑応答では、発展途上国で児童労働を取り締まると貧しい児童たちは賃金を求め性風俗産業に流れるのではないか、これに対し、全く禁止するのではなく、賃金や通学を確保したうえでの労働環境を保証することができるのではないか、など議論がとても充実しました。