【声明】カンボジア: スポーツウェア製造工場で次々と起こる女性労働者の大量卒倒事故。 アシックス、プーマ、ナイキら国際ブランドに対し、再発防止と労働環境改善を求める。

ヒューマンライツ・ナウは本日2018年03月06日、声明「カンボジア: スポーツウェア製造工場で次々と起こる女性労働者の大量卒倒事故。 アシックス、プーマ、ナイキら国際ブランドに対し、再発防止と労働環境改善を求める。」を公表しました。

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カンボジア: スポーツウェア製造工場で次々と起こる女性労働者の大量卒倒事故。

アシックス、プーマ、ナイキら国際ブランドに対し、再発防止と労働環境改善を求める。

2018年3月6日

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ

 


 

1 はじめに

カンボジアでは近年、縫製・靴工場で労働者が作業中に卒倒する事故が相次いでいる。

カンボジアの国家社会保障基金(NSSF)[1]によれば、2015年には32工場で1806人の労働者の卒倒事故があり、2016年は、18工場で1160人の労働者の卒倒事故があったという。[2]

国家社会保障基金(NSSF)のスポークスパーソンは、その要因として精神的問題(34 %), 肉体的問題 (22 %), 化学薬品の影響 (18 %)、労働者の長時間労働 (16 %) 等を指摘した[3]

こうした事態について2017年6月、デンマークの調査機関であるDanwatchと、イギリスの新聞Guardian共同で、国際スポーツブランドであるナイキ、プーマ、アシックス、ベストセラーズ、VF Corporationのサプライヤー工場で働く労働者の聞き取りを行い、調査の結果を発表した。

両者は、これらの労働者が卒倒した工場と、委託先である著名スポーツブランドの関係を指摘し、卒倒事故の背景に劣悪な労働環境の問題があると指摘する[4]

東京を拠点とする国際人権NGOであるヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、大量卒倒の背景にある有名スポーツブランドの製造工場の労働環境に深刻な懸念を表明し、工場に製造発注をする著名ブランドに対し、事態を真摯に受け止め、再発防止を進めるよう求める。

 

2 カンボジアの工場で相次ぐ労働者の卒倒事故

Danwatchは、2016年から2017年におけて、卒倒事故が発生した工場で働く14人の女性労働者にインタビュー調査を実施し、労働条件、通勤環境、食事、住居、労働条件に関する実情等を聞き取った。さらに、医師、労働組合指導者、NGO、政府職員、また事業者団体にインタビューを行い、卒倒事故の原因を究明した。

DanwatchおよびGuardianによれば、報告書発表前の6か月の間に、ナイキ、プーマ、アシックス、ベストセラーズ、VF Corporationの5ブランドのサプライヤー工場で、600人を超す労働者が大量卒倒した後、入院したとされる[5]

また、Danwatchの調査によれば、2017年2月には、ナイキの製造工場で28人の労働者が卒倒し、その直後にデンマークの会社ベストセラー[7]の製造工場の労働者36人が卒倒して入院したとされる[8]

さらに3月には、40人ほどの労働者がプーマの工場で卒倒したとされる。[9]これらの数字は、国家社会保障基金(NSSF)によっても確認されているという[10]

 

3 大量卒倒事故の背景にある労働環境

Danwatchらの調査によれば、卒倒事故の中には、火災事故や煙の発生等のアクシデントが工場内で発生し、労働者がパニックに陥って次々と労働者が卒倒したケースもあるとされる。

同時に、Danwatchらは、こうした工場内のアクシデントが大量卒倒事故に発展する背景には、製造工場の劣悪な労働環境があると指摘する。

Danwatchの調査報告書には、多くの工場では労働者の作業が行われる部屋は非常に高温多湿で換気も十分でないこと、長時間にわたり大量の作業を休憩なしで行っていること、労働時間内の水分や栄養の補給が十分に行えないこと等が指摘されており[11]、深刻な労働環境が大量卒倒事故の背景にあることがうかがわれる。

GuardianとDanwatchの調査の結果、労働者から指摘された労働環境上の問題は以下のとおりである[12]

(1)雇用条件:長時間労働、低賃金、不安定な雇用

Guardianの報道によれば、女性労働者たちの多くが、1日10時間、週6日間の労働を行っており、疲労困憊し、空腹の状態だったという。[13]

また、女性労働者たちの多くは一家の生計の柱として、子らや家族の生活を一手に支えているが、彼らの受け取る賃金は著しく低い。

カンボジアの2017年当時の最低賃金は月額153ドル(2018年から170ドル)とされるが、一家の生活に必要な生活賃金は少なくとも300ドル以上と推計されている。[14] ところが、調査対象となったスポーツブランドのサプライヤーでは、いずれも生活賃金が支払われておらず、その約半額に過ぎない最低賃金ベースの賃金支払いにとどまっている。[15]

Guardian及びDanwatchの報告書は、こうした状況では労働者は家計のやりくりのために栄養のある食事をとれないうえ、生活賃金を受け取るために法定を越えた残業を余儀なくされる可能性を指摘する。

さらに、これらの工場で雇用されている女性の多くが、短期間の雇用契約を締結しており、雇用が著しく不安定であることも事態を深刻なものとしているという。

調査によれば、女性たちは残業を断ることで雇用契約が更新拒絶されることを恐れ、長時間残業を受け入れざるを得ない状況にあるという。

不安定な短期雇用は、いつ打ち切られるかわからない状況は、労働者に多大なストレスを与え、過酷な労働環境の改善を提案することも躊躇させている。[16]

カンボジアの労働法規は、一日の残業時間の上限を2時間としており、経営側による残業の強制を禁止している。[17]そして、残業は「特別な緊急事態の場合」のみ許され、雇用主は残業を断った従業員に罰を与えてはならないと明記している[18]。しかし、卒倒事故が発生した工場でこの法規制が果たして遵守されているのか、さらなるモニタリングの必要性がある。

 

(2) 工場環境:高温多湿、換気不足、

Guardian及びDanwatchの調査はまた工場の労働環境が著しく劣悪であると指摘する。

労働者へのインタビュー結果は、多くの工場で工場内の気温が非常に高いうえ、換気や空調の使用は十分とは到底言えないことを示唆している。

例えば、Danwatchらのインタビューに応えたアシックスのサプライヤー工場の女性労働者は、 「工場のいくつかの部門には温度を下げるための小さなファンが設置されているが、他の部門では埃を除去するために置かれているだけである」とし、工場内の温度は「非常に暑い」と訴えた。[19]

Danwatchが彼女に工場内の温度を計測してもらったところ、午前11時半は32~34度、数時間後には35~36度に上がり、一つの建物では37度と測定されたという。

同調査によれば、こうした状況にも関わらず、彼女の工場では、1時間に24アイテム、一日で240アイテムを生産しなければならないため、彼女は「作業はきつい」と訴えたという。

同調査では、プーマの労働者にも工場内の温度を計測してもらった結果、35度という計測結果が得られたという。

このように高温・多湿の環境でありながら、多くの工場では、エアコンディショナーもなく、換気設備も十分でなく、労働者が栄養・水への十分なアクセスができないという。[20]

Danwatchの調査に、医学の専門家は、製造過程で使用されている化学物質の健康への悪影響も指摘した。[21]

こうした調査結果を受け、産業医学の専門家は暑さ、水分補給の不足、栄養不足と消耗といった状況が重なれば、卒倒・ひいては大量卒倒は起こるべくして起こると指摘しており[22]、産業医学の別の専門家は、精神的プレッシャーの高い仕事に高温多湿、食料、水、休憩へのアクセスが否定されることは「奴隷的状況だ」と指摘した。[23]

カンボジアの労働法は気温が高いことで労働者の健康に影響がある場合は扇風機か空調によって職場の温度を低くしなければならないと定めているものの[24]、ベトナムのように工場内の室温を32度以下とする規則は制定されていない。[25]

今回問題が指摘されたアシックス、プーマ、ナイキ等のブランドは労働環境に関するポリシーを明確にしている。

例えばアシックスはグローバル行動規範において、安全かつ衛生的な環境を提供することを約束すると表明し[26]、ビジネスパートナーには仕事場に「適切な[略]温度調節、換気システム等を含め、安全かつ健康的な労働環境を提供する」よう求めている[27]

しかし、Guardian及びDanwatchの調査を踏まえれば、卒倒事故が発生した工場では、こうした法規制や企業ポリシーが遵守されていなかったことが疑われる。

 

4 カンボジア政府、カンボジアの縫製産業の業界団体、及び、ブランドが講じた対策

 

こうした実情に対する政府・産業界の対応は、決して十分なものではない。

  • カンボジア政府は今年の1月より最低賃金を月額170ドルに引き上げたが、生活賃金とのギャップはまだ埋まらず、加えてカンボジア政府による市民社会に対する一連の弾圧の一環として、労働組合活動を抑制する法律が発効している。[28]
  • 縫製産業の業界団体であるGMAC(Garment Manufacturers Association in Cambodia)のDanwatchらの報告書公表の直後の対応は極めて否定的なものである。GMAC事務局長のKen Loo氏は一連の大量卒倒事故について、「数字は常に誇張されている。」「GMACは大量卒倒問題に関して配慮するが、優先課題ではない」[29]、「この大量卒倒事故の中には、労働者が示し合わせて卒倒したふりをしたものもあった。「労働者]は視察者を見たらわざと倒れる」[30]、「126人の労働者が被害を受けたと宣伝されているからと言って、労働者126人が実際に倒れたわけではない。労働者がこんなに多く卒倒すれば、世界中の医師はカンボジアに集まりこの現象を調査するはずだ」[31]などとして被害を過小評価し、背後にある労働環境の問題点を分析しようという姿勢が見受けられなかった。

GMACは2017年9月に、無限雇用契約、最低賃金、労働組合、雇用契約の解約、労働許可証、団体労働協約、休暇、ストライキ、職場の衛生・安全等に関するガイドラインをウェブサイトに発表した[32][33] 。このガイドラインには、作業場で発生する熱が、作業員の健康を害したり、作業の妨げにならないように、雇用主は扇風機、換気扇、エアコンなどを用いて、作業場を冷やす方策を講じなければならないと記載されている[34]。また、換気についても、換気は扉や窓、通気口によってなされ、その合計面積が、平方メートルで計算した場合に、建物の面積の4分の1以下であってはならないと記載されている[35]。さらに、作業員用の衛生的な飲料水を用意することも雇い主に義務付けられている[36]。労働時間については,緊急時を除いて日に9時間,又は週に48時間を超えてはならないと記載している[37]。しかしながら、このガイドラインについてGMACがウェブサイトに公表した以上、どのような履行確保の努力をしているかは不明であるうえ、定期的な休憩,生活賃金の保障、短期間雇用制度の濫用の課題については言及がなされていない。

  • Danwatch、Guardianの指摘を受け、ナイキ、プーマ等の各ブランドも事態を深刻に受け止め、いくらか対策を講じていくと表明した[38]

ナイキは事態を深刻に受け止めるとし、コードオブコンダクトで、工場の室温を30度と定め、それを上回ることが監査で確認された場合は、サプライヤー工場の冷却装置とエアコンディショナーを導入させるとしている。また、短期雇用契約は許容しないと表明している。[39]

さらに、ナイキは2017年秋、ジョージタウン大学の学生らの提起を受けて、海外のサプライヤー工場の労働環境について、独立した民間調査機関であるWorker Rights Consortiumによる独立監査を受け入れる合意をし、監査の透明性を高めている。[40][41]

プーマは、換気設備の定期整備を行うこと、健康診断の導入を進めること、労働者調整委員会の設置をすることをサプライヤーに要求したと報じられている。[42]さらにプーマは大量卒倒問題に対して,エネルギーバーの提供,健康診断及び換気扇の定期整備を行うようにサプライヤーに提言したと報告されている。[43]

  •  アシックスもGuardianに対し、労働者に対する意識と健康に関するトレーニングの実施や換気施設の改善等の具体的な措置を講じると回答したとされる。[44]

しかし、少なくとも日本語の公式ホームページ上には、大量卒倒事故に関する言及は見受けられず、説明責任を果たしているとは認めがたい。

HRNは、DanwatchおよびGuardianの調査結果を踏まえ、2016年11月のアシックスのカンボジアのサプライヤー工場における労働者の大量卒倒等について、アシックスに問い合わせたところ、「報道にあったような37度という事実はないという報告を受けた」とし、大量卒倒事故の背景には、「まずインフルエンザで体調不良の労働者が業務中に大声を出して気絶し、それを見た周囲の労働者が卒倒し、連鎖したというサプライヤーからの情報があった」との回答を得た。

また、アシックスは、現在、室温が32度を超えないようにモニターしており、大型の扇風機も導入し、栄養がとれるように食事代の補助も工場が実施しているとも回答している。

アシックスは、「卒倒の原因というのは、室温、化学物質、過去のポルポト政権の悪行による精神的な問題、仮病など色々な潜在的原因が指摘されているが、当社でも特定はできていない。カンボジアの労働者には低血糖が多く、卒倒しやすいとも聞いている。また、仮病がないかをGMACが見極めようとしているという情報もあるが、それに関わらず現地のステークホルダーと継続的に協働し当社商品に関わる人々の労働環境を改善していきたい。」と述べている。

しかしながら、仮に室温が32度であっても上記のようなストレスのかかる環境下では、ISO(国際標準機構)7243及び国際労働機関が公表した『縫製製造業における労働環境・生産性向上』マニュアル[45]に基づき、高すぎるといえる。

仮にアシックスの主張が事実だとしても、インフルエンザで体調不良の労働者が病休をとることもできないまま、就業する労働環境そのものの改善が必要である。

 

5 カンボジア政府、経営者団体、ブランドの責任

  •  Guardian及びDanwatchの調査結果で指摘されているように、一連の大量卒倒事故は、近年、カンボジアで蔓延しており、女性労働者たちの健康を危機にさらし、過酷な労働環境での労働を強いている。

カンボジアが批准した国際人権条約(とりわけ社会権規約7条及び12条)、ILO条約、カンボジア労働法に違反する事態は速やかに是正されるべきである。

カンボジア政府には、良好な健康状態を保つ権利、安全で健康的な労働環境で働く権利を実現する責任があり、第一義的に事態改善に動くべきである。

縫製産業界には、大量卒倒を仮病と疑う傾向もあり、仮病と判断すれば厳しいペナルティが課される可能性もある。

しかし、Guardian及びDanwatchの調査及び専門家の分析によれば、劣悪な環境が卒倒事故を生み出している要因であることが強く疑われる。卒倒を仮病とみなして労働者にペナルティを課すような姿勢では、労働者は一層萎縮させられ、権利行使もできず、健康状態は危機にさらされることになる。仮に表面的に卒倒事故に関する統計数値が低下したとしても、事態はいっそう深刻化するであろう。

GMAC(カンボジア縫製製造業協会)には、真摯に事態に向き合って調査し、労働環境を抜本的に改善しなければならない。

  • 現地のサプライヤー工場には、製造工場の労働者に対し、国連社会権規約7条、12条及びILO第187号条約に違反する事態を是正し、労働者の健康・安全を害する劣悪な労働環境を改善する責務がある。

そして、カンボジア製造工場に生産を委託しているスポーツウェアメーカーは、国連『ビジネスと人権に関する指導原則』(特に原則13)に基づき、サプライチェーン上で発生する人権への負の影響を防止し、既に発生している人権侵害を軽減し、被害を軽減し、是正措置を講ずる責務を負う。

アシックス、プーマ、ナイキら国際ブランドメーカーは、本件卒倒事故について、労働者の意見や置かれた環境について十分な聞き取り調査と分析を行い、原因を特定すべきである。そして、様々な専門家が指摘する、長時間の過密な労働、低賃金、高温多湿で換気の少ない劣悪な労働環境、水や栄養へのアクセスが十分でないこと、休憩が少ないこと、化学物質への暴露、短期間の雇用契約による不安定性とこれに起因するストレスに総合的に対応し、改善を図るよう支援すべきである。

 

6 提言

コンプライアンスの重視を大々的にPRしてきた有名スポーツブランドで発生した深刻な人権問題について、うやむやな解決は許されない。

国連ビジネスと人権指導原則に基づき、カンボジアが批准した国際人権条約、ILO諸条約、カンボジア労働法に違反する事態は速やかに解決されるべきである。

今回問題が指摘された工場に製造を委託していたスポーツブランドは世界的に著名であり、特にアシックスは、ワールドワイドオリンピックパートナー、及び、東京2020オリンピック・パラリンピックゴールドパートナーとして、東京オリンピック・パラリンピックのスポンサーに名を連ねている。

2017年に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」)は、持続可能性に配慮した調達コード(第一般)を公表しており、その中でも、国際人権基準の遵守・尊重や、国際労働基準の遵守・尊重が含まれている。

本件で問題が指摘されている工場において、組織委員会が調達する物品の製造が行われているか、又は、予定があるかについては不明であるが、オリンピックのサプライヤーには、「本調達コードで規定する事項に留まらず、社会における最新の課題やニーズを的確に把握し、持続可能性の一層の向上に取り組むことが期待され」ていることにも留意すべきである[46]

労働者の大量卒倒という異常な事態の再発を防止し、スポーツウェア工場の労働者を権利侵害から守るため、HRNは以下の勧告を行う。

 

<カンボジア政府に対して>

・大量卒倒事故の原因に関し、労働環境との関連について適正な実態調査を行い、対策を講じること

・ 労働法上の労働者の権利に関わる規定がすべての事業所で実施されるよう、監督体制を高め、労働法違反への制裁を強化し、法の適切な実施を徹底すること

・有期雇用の更新拒絶権が濫用されないよう、法改正を検討すること

・生活賃金が保障されるよう、さらなる賃金向上について労働者との協議に応じること

 

 

<GMACおよび問題が指摘された製造工場に対して>

・工場内の温熱調節と換気を向上させ、職場のその他の危険要素を排除すること

・食事、水分補給、休息のために労働者に定期的に十分な休憩を与え、勤務中の水分補給を認めること

・違法な残業の禁止を徹底すること

・管理職に対し、労働法と国際条約に基づく労働者の権利について研修を行うこと

・労働者に健康、安全、労働者の権利について十分な教育をし、労働者に定期的に健康診断を受けさせること

・生活賃金の保障を実現すること

・短期間雇用制度を濫用し、労働者の雇用不安に付け込んで意に反する労働を強要する行為を行わないこと

 

<ナイキ、プーマ、アシックス等のグローバルなスポーツウェア会社に対して>

・大量卒倒事故が発生した原因を独自に究明する包括的な調査を実施してその結果を公表するとともに、再発防止のためのアクションプランを策定・実施すること。調査に際しては、公平な第三者機関を用いるなど、インタビューに応じて真実を語った労働者等が会社から報復を受けることのないよう配慮すること

・自社の労働環境ポリシーが製造工場で遵守されてこなかった原因を究明し、改善策を公表して説明責任を果たすこと

・製造工場における長時間残業、高温かつ危険な作業環境を改善し、職場の健康・安全を確保するよう支援すること

・生活賃金の実現を達成するようイニシアティブをとること

・未だサプライヤーリストの開示と独立監査の受け入れ表明をしていない企業は、これを実施すること

 

<東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対して>

・「持続可能性に配慮した調達コード」を適切に運用し、効果的かつアクセスしやすい苦情処理制度を早急に整備するとともに、調達コード及び苦情処理制度の存在の影響を受ける労働者に広く知らせること

・調達コードの運用に際しては、本件および同種の労働者の権利侵害が、スポーツウェアの製造プロセスで未だ蔓延している危険性に十分に留意すること。

以上

 

[1] http://www.nssf.gov.kh/default/about-us-2/

[2]  “Hundreds of Cambodian garment workers faint,” Al Jazeera, 4 April 2014,

http://www.aljazeera.com/news/asia-pacific/2014/04/hundreds-cambodian-garment-workers-faint-201443131659267499.html;

[3]  Mom Kunthear, “Large drop in factory fainting cases,” Khmer Times, 19 Jan. 2017, http://www.khmertimeskh.com/news/34489/large-drop-in-factory-fainting-cases/

[4] Louise Voller, Nikolaj Houmann Mortensen, “Mass faintings afflict the women who sew our clothes”, Danwatch, June 2017, https://www.danwatch.dk/undersoegelser2/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/;

The Guardian, “Cambodian female workers in Nike, Asics and Puma factories suffer mass faintings”, 25 June 2017, https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting.

[5] https://danwatch.dk/en/undersoegelse/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/

[6]  https://danwatch.dk/en/undersoegelse/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/

Kong Meta, “’Spirit’ initially blamed for shoe factory fainting,” The Phnom Penh Post, 3 Nov. 2016, http://www.phnompenhpost.com/national/spirit-initially-blamed-shoe-factory-fainting

[7] https://danwatch.dk/en/undersoegelse/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/

[8] Ibid

[9] 但しGuardianは、インタビューの結果、実際には150人の労働者が卒倒したと報じている。

[10] https://danwatch.dk/en/undersoegelse/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/

[11] Ibid

[12] Ibid

[13] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[14] https://wageindicator.org/documents/publicationslist/publications-2016/guzi-m-kabina-k-tijdens-k-g-2016-living-wages-in-cambodia-amsterdam-wageindicator-foundation

また、非営利組織であるAsia Floor WageはDanwatchの調査に対し、カンボジアでは月額430ドルの収入がなければ、ネットも基本的な支出の支払いができないとの試算を示している。

[15] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[16] 非政府組織Worker Rights Consortium の東南アジアディレクターであるBent Gehrtは、短期契約こそが雇用不安定の根本原因であり、契約更新拒絶を恐れて労働者は残業を拒めない、と指摘する。Danwatch, Ibid

[17] Prakas 80/99, Labour Law Article 139 (on Overtime Payment and Working Overtime on Normal Working Hours).

[18] Prakas 80/99, Labour Law Article 139 (on Overtime Payment and Working Overtime on Normal Working Hours).

[19] https://danwatch.dk/en/undersoegelse/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/

[20] Danwatch, Ibid

[21] Danwatch interview with Robert Bartholomew, medical sociologist, Danwatch, Ibid

[22] Danwatch interview with Erik Jørs, a senior researcher in occupational and environmental medicine at the University of Southern Denmark, Danwatch, Ibid

[23] Danwatch interview with Jane Frølund Thomsen, Senior Hospital Physician in the Department of Occupational and Environmental Medicine at Bispebjerg Hospital, Danwatch, Ibid

[24] Prakas 147 (on Thermal Environment at the Workplace).

[25] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[26] 株式会社アシックス「アシックスグローバル行動規範」http://corp.asics.com/jp/p/code_conduct

[27] http://corp.asics.com/en/p/asics-global-code-of-conduct; http://asics-corporate-production-draft.s3.amazonaws.com/page_types/2235/files/policy_of_engagement_original.pdf?1405496979%0D%0A

株式会社アシックス「ビジネスパートナー管理方針」http://corp.asics.com/jp/p/agency_policy

[28] https://www.economist.com/news/business/21730633-textile-workers-find-unlikely-ally-against-state-repression-cambodian-government

[29] http://www.phnompenhpost.com/national/stories-vary-latest-mass-fainting-incident

[30]https://danwatch.dk/en/undersoegelse/mass-faintings-afflict-the-women-who-sew-our-clothes/

[31]                      http://wwmp.org.za/elitsha/2017/09/22/whats-behind-the-mass-faintings-in-cambodias-garment-factories-whats-behind-the-mass-faintings-in-cambodias-garment-factories/

[32] https://www.gmac-cambodia.org/publications

[33] https://web.archive.org/web/20180116014903/https://www.gmac-cambodia.org/publications?page=1

[34] https://www.gmac-cambodia.org/publication_pdf_en/1505142709.pdf

[35] Ibid, 5項

[36] Ibid 6項

[37] https://www.gmac-cambodia.org/publication_pdf_en/1505141920.pdf ,2項

[38] Jennifer McKevitt, “Mass faintings at apparel factories highlight employer’s role in worker conditions,” 27 June 2017, https://www.supplychaindive.com/news/mass-faintings-nike-asics-adidas-puma-worker-conditions-cambodia/445863/

[39] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[40] https://laborrights.org/blog/201709/nike-signs-factory-access-agreement

[41]                        https://www.huffingtonpost.com/entry/nike-watchdog-group-inspect-overseas-factories_us_59a70baee4b0a8d14572b383?ncid=inblnkushpmg00000009

[42] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[43] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[44] https://www.theguardian.com/business/2017/jun/25/female-cambodian-garment-workers-mass-fainting

[45] Hiba, Juan Carlos, “Improving Working Conditions and Productivity in the Garment Industry,” International Labour Organization, 1998, p 55, http://www.ilo.int/public//english/protection/condtrav/pdf/wc-jch-98.pdf

適温は20~25度としている。

[46] 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード(第 1 版)」12頁https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/sus-code/wcode-timber/data/sus-procurement-code.pdf