2026年10月16日、ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、Japan International Rule of Law network(JIRoL)、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)と共に、米国による国際刑事裁判所(ICC)本体への制裁決定を受け、オンライン共同記者会見を開催しました。
会見では、ICCの役割や米国による制裁の影響について解説するとともに、日本政府、国際社会、そして日本社会に求められる対応について議論しました。
米国によるICC本体への制裁とその影響
2026年10月9日、米国のマルコ・ルビオ国務長官は、ICC本体に対する制裁措置を発表しました。米国はこれまで、ICCの検察官や裁判官、パレスチナの人権団体、国連の被占領パレスチナ地域人権状況特別報告者などにも制裁を科してきました。今回の決定は、個人や団体にとどまらず、ICCそのものを制裁対象とするものです。
ICCは、戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイド、侵略犯罪といった重大な国際犯罪について、個人の刑事責任を追及するために設立された、世界初の常設の国際刑事裁判所です。国家の立場や権力の大きさにかかわらず、重大な犯罪の責任者に対して司法手続きを進める役割を担っています。
しかし、米国による制裁は、ICCの活動そのものを妨げるおそれがあります。制裁によって銀行口座や金融サービス、デジタルサービスなどの利用が制限されるだけでなく、米国以外の企業も制裁の影響を懸念してICCとの取引を避ける可能性があります。
こうした状況は、ICCの活動を困難にし、パレスチナやウクライナ、ミャンマー、スーダンなど、世界各地で重大な人権侵害の被害を受けた人々が正義を求める権利を脅かすものです。
日本政府に求められる具体的な対応
会見では、日本政府が米国による制裁に反対する立場を表明するだけでなく、その影響を抑えるための具体的な措置を講じる必要性が指摘されました。
日本はICCの締約国であり、赤根智子所長をはじめ、これまで複数の裁判官を輩出してきました。日本政府はICCへの支持を表明していますが、その姿勢を実際の行動につなげることが求められています。
ヒューマンライツ・ナウ副理事長の伊藤和子弁護士は、米国の制裁に対して日本政府が具体的にどのような措置を取るのかが重要だと指摘しました。特に、銀行などの民間企業が制裁の影響を懸念してICCとの取引を停止することを防ぐため、制裁の域外的な影響を抑える「ブロッキング法」のような法的措置を検討する必要性を訴えました。
また、日本政府には、米国に対して制裁の撤回を求めるとともに、他のICC締約国とも連携し、ICCが独立して活動を継続できるよう支援することが求められます。
国際社会と日本社会にできること
ICCの独立性を守ることは、単に一つの国際機関を支援するという問題ではありません。重大な国際犯罪の責任者が、国家の権力や政治的な事情によって責任追及を免れることのないよう、国際社会が築いてきた法の支配を守ることにつながります。
会見では、国際社会が米国による制裁の影響を抑えるために協調して行動することの重要性も確認されました。また、日本社会においても、ICCの役割や国際司法の重要性について理解を広げ、ICCを守るための取り組みを支えることができます。
ヒューマンライツ・ナウは、JIRoLおよびヒューマンライツ・ウォッチとともに、米国によるICC本体への制裁に反対し、日本政府に対して、ICCの独立性と活動を守るための具体的な行動を求めました。
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