【声明】ウクライナ侵攻開始からの4年経過にあたり、改めてロシア連邦に対して軍事行動の即時停止・撤退と国際法違反にかかる責任を果たすよう求める声明

2026年2月27日、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、ウクライナ侵攻開始からの4年経過にあたり、改めてロシア連邦に対して軍事行動の即時停止・撤退と国際法違反にかかる責任を果たすよう求める声明を公表しました。

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ウクライナ侵攻開始からの4年経過にあたり、改めてロシア連邦に対して軍事行動の即時停止・撤退と国際法違反にかかる責任を果たすよう求める声明

2026年2月27日

1 2022年2月24日にロシア連邦(ロシア)がウクライナに対する全面的な軍事侵攻を開始してから、丸4年が経過した。これまで繰り返し批判してきたとおり、ロシアによる侵攻は、ウクライナの主権を犯す侵略行為であって国連憲章に明確に違反する違法な武力行使であって、到底許されない。
2 ロシアは、ウクライナ侵攻の過程で、国際人道法違反や国際人権法違反、国際刑事裁判所設立条約(ローマ規程)が禁止する多数の戦争犯罪や侵略犯罪を行ってきた。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、侵攻開始から確認されている範囲だけでも少なくとも15,172人の市民が死亡し、負傷した市民は41,378人に上る 。また国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、ウクライナからの避難者は2026年2月19日時点の推定値で、5,923,870人に上っている 。またロシアは、ウクライナ政府機関が現在までに確認できているだけでも約2万人もの子どもを国外追放・強制移送した 。
特に、国連ウクライナ人権監視ミッション(UN Human Rights Monitoring Mission in Ukraine) によれば、2025年のウクライナの民間人犠牲者は、2024年と比べて31%増加し、2023年からは70%増加した 。2025年6月からロシア軍による長距離兵器の使用が大幅に増加したことで、最前線地域だけでなく、ウクライナ各地の都市部で民間人被害が増加しており、長距離兵器は2025年のウクライナの民間人犠牲者の35%を占め、2024年と比べて65%増加している 。
エネルギーインフラへの攻撃は益々激化しており、複数の都市で長期にわたる停電が繰り返された。長期間の停電は、特に脆弱な状況にある住民に深刻な影響を与えている。またロシア軍は、ヨーロッパ最大の原子力発電所であり、ウクライナの電力の20%を供給していたザポリージャ原子力発電所を2022年3月4日以降現在に至るまで占領しており、停電、近隣の砲撃、職員への加害等により核施設としての安全上の危機も繰り返し招いている。
このような増加する民間人殺戮や市民生活の要となるインフラへの攻撃等はジュネーヴ諸条約等の国際人道法に明確に違反するものである。しかしこれらについては、一部はロシア政府が免責を与えていることもあって捜査も訴追もされず、国連人権高等弁務官事務所をはじめとする人権監視メカニズムは被占領地域への実質的アクセスを依然として欠いている状況にある。
3 他方でロシアのプーチン政権は、軍事侵攻継続のため、国内の言論を厳しく統制し、反戦運動に苛烈な弾圧を加えている。ウクライナへの全面侵攻を開始後、「ロシア軍の信用失墜行為」及び「軍に関する偽情報の拡散行為」が厳しく処罰されることとなり、戦争、軍、または大統領に対する批判を含むあらゆる公の発言が行政罰や刑事罰の対象とされ、2025年3月時点で前者について171件、後者について444件の刑事事件が立件されている 。
またロシア政府はウクライナ侵攻開始後、過激主義及びテロ行為に関する法律を濫用し、政権批判者への弾圧を強めた。裁判所の判断を経ることなく、個人・団体をテロリスト・過激主義者リストに登録でき、銀行口座の凍結などが可能となるが、2025年現在18,000人以上が登録されている。また、同法に基づく処罰(テロ正当化、過激主義の正当化)には、終身刑を含む厳罰が規定されている。反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は、「過激主義組織の創設」の罪で拘禁19年を言い渡されたが、収監中の2024年2月16日に死亡した。英仏独蘭とスウェーデンは、2026年2月14日、同氏が毒殺された可能性が高いとする調査結果を発表している 。
またロシア国内で解散を命じられた後、2022年10月に団体としてノーベル平和賞を受賞した人権団体「メモリアル」の国際組織(International Memorial Association)は、2026年2月にロシア政府によって「望ましくない組織」と認定された 。かかる措置は、ロシア国籍保有者が国外で行う活動を、刑事罰の威嚇により萎縮させるものである。
このような、反戦・反体制言論を行った者に対する広範かつ恣意的な処罰と、獄中での虐待的処遇は、表現・報道の自由や人身の自由を踏みにじる暴挙であり、到底許されるものではない。
4 ロシアが国際社会の強い抗議・非難を顧みないまま侵攻開始から丸4年が経過したが、もはやこれ以上の殺戮と人権侵害、国際法秩序の蹂躙は決して許されない。HRNは、改めてロシア政府に対し、すべての軍事行動を即時に停止してウクライナから撤退すること、並びに国際法違反にかかるアカウンタビリティ(説明責任と救済・賠償責任)を果たすことを改めて強く求める。また、主権国家であるウクライナの頭越しに米ロで和平交渉を行い、違法な武力行使を受けたウクライナに対して領土の割譲を迫るような解決策は、ウクライナの主権と領土保全・政治的独立を侵害するものであり、武力の行使から生ずるいかなる領土取得・併合も合法的なものとして承認されてはならないという国際法の原則(「友好関係原則宣言」国連総会決議25/2625(1970年) 、及び「侵略の定義に関する決議」国連総会決議29/3314(1974年) )とも相容れない。
HRNは、国際社会に対し、国際法違反追及のための努力を継続・強化するよう求める。ここには、プーチン大統領に逮捕状を発付した国際刑事裁判所(ICC)への支持・協力を強め、ICCに対する不当な制裁に団結して抵抗することが、当然含まれる。また、国際社会に対し、侵略を終わらせるための政治的・経済的圧力を継続・強化し、国連憲章と国際法に基づく恒久的な平和の実現に向けて取り組むよう求める。