Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour(略称 SACOM)とヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、日本の市民社会組織とともに、中国国内のユニクロの製造請負工場で発生している労働者の権利侵害の実態について、社会的関心を喚起するため、記者会見、 セミナー など一連の公的イベントを日本で開催した。これらのイベントはユニクロに対し社会的圧力をもたらし、ファーストリテイリング社はこの問題について公式見解を発表するに至った。
2015年1月19日、ファーストリテイリング社、SACOM、そしてヒューマンライツ・ナウの代表者は、ヒューマンライツ・ナウの東京オフィスで、中国国内の2つのユニクロの製造請負工場おける労働環境の実態調査報告書に関連して、会合を持った。SACOM とヒューマンライツ•ナウは、ファーストリテイリング社が調査報告書に対して迅速な対応をしたこと、製造請負工場における問題に対する改善をはかるイニシアティブをとり、アクションプランを公に向けて発表したことを評価する。一方で、SACOMとヒューマンライツ・ナウは、ファーストリテイリング社の全ての製造請負工場で労働環境の長期的な改善をもたらすモニタリング体制の構造的改善を求める。
第一に、1月15日に発表された行動計画について、市民社会は行動計画の進行状況•結果についての詳細を知る権利を有している。したがって、SACOMとヒューマンライツ・ナウは、ファーストリテイリング社が行動計画の過程と結果の詳細を市民社会に全面開示すること、外部監査機関だけでなく市民団体と協働することにより、透明性をより良く確保することを求める。また、単に労働時間を制限するだけでは、問題の根本的原因の改善にはつながらないと信じる。根本的原因はファーストリテイリング社による低い発注額にあるのではないかと私たちは考えている。SACOMとヒューマンライツ・ナウは、ファーストリテイリング社に、製造請負業者らに対する発注額を見直し、一般労働者が尊厳のある生活を送るために充分な賃金を保障することを求める。私たちは、2015年上半期に確実な結果がみられることを期待する。
同時に、ファーストリテイリング社が導入した2つの取引工場での労働環境改善のステップに加え、すべてのサプライヤーが国内労働法及び国際労働基準の遵守を確実にするために、ファーストリテイリング社によるサプライチェーンのモニタリング体制の再検討と強化は必要不可欠である。
さらに、取引工場における労働環境の全体像を把握するためには、一般労働者の声を汲み取り、改善策に反映することが、より重要である。そのためには、工場レベルにおける労働組合は、労働者が懸念を表明するとともに、工場の労働環境を監視する効果的なプラットフォームとなりうる。このような労働組合の設立、そして労働者に対するトレーニングは、SACOMの推薦する経験豊富で信頼性の高い非営利労働団体によって促進していくことが可能である。
大手国際的ファッションブランドとしてユニクロは、既にサプライヤーの労働環境を既に改善させ、サプライチェーンの透明性を確保している他の国際ブランドの経験に見習うべきである。そのために、ユニクロのサプライヤーに関する全ての情報を早急に市民社会に公開することを求める。私たちは、消費者が、メディアや市民団体と共に、企業行動を監視するのに重要な役割を果たし得ると考える。
SACOMとヒューマンライツ•ナウは、製造請負業者二社の工場その他全てのサプライヤーの労働環境の改善について、ファーストリテイリング社のアクションプランの進捗状況を引き続き監視し、定期的な対話を続けていく。私たちは、ファーストリテイリング社に対し、遅くとも2015年6月までに、以下の要求に応えるよう求める。
ファーストリテイリング社に対する勧告は以下のとおりである。
1.工場に対する調査結果の公表を含め、アクションプランの進捗•結果に関する情報の詳細を公表することを通じて、透明性を確保すること。
2.ユニクロのサプライヤーに対する低い発注額を是正すること
3.2015年6月までに、少なくともユニクロのサプライヤー5社において、非営利の労働者の権利擁護団体の参加を確保したうえで、民主的な工場単位の労働組合の結成の促進および、労働者のトレーニングを実施すること
4.ユニクロのサプライヤーにおける労働環境モニタリング体制を再検討し、改善すること
5.ユニクロのすべてのサプライヤーのリストを公表すること
6.建設的で誠実な対話を市民団体と進めていくこと
Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour
ヒューマンライツ・ナウ