【世界の人権・パレスチナ(ガザ)】 2010/09/27 ガザ支援船団事件に関する国連人権理事会の調査は、イスラエルに対し「不必要な」暴力であるとして非難

 2010927日) 国連人権理事会に任命された事実調査団の長は、本日、イスラエルが、531日のガザ行きの支援船団に対する要撃の最中に「まったく不必要な暴力」を行使したと述べた。

 

トルコを出発し、2007年からイスラエルの封鎖の対象であったガザに人道援助物資を届けようとした援助船の船団に対する事件において、9人の民間人が命を失い、それ以上の人が重傷を負った。

 

議長であるカール・ハドソン・フィリップス判事は、事実調査団(同じ事件に関する調査のための、4人のメンバーからなる潘基文事務総長が任命したパネルとは別である)が、船団の乗客に対する、イスラエル軍やその他の人員の行為が「不均衡で過剰」であったと認めると、ジュネーヴを拠点とする人権理事会に述べた。

 

同氏は、事件の最中や事後に起きた人道法・人権法の重大な違反も認めた、56頁の調査団の報告書に含まれた調査結果を報告する際に「彼らは完全に不必要なレベルの暴力を行使した」と付け加えた。

 

先週公表されたその報告書は、船団の6つの船のそれぞれに対する要撃と66日の7番目の船に対する要撃、9名の乗客の死亡とその他多くの者の負傷、そしてイスラエルにおける乗客の拘留と国外追放に至る事件の事実認定を提示した。

 

ハドソン・フィリップス判事によれば、報告書は、いくつかのカタパルト(投石機)を除いて、船団のどの船にも攻撃性のある武器や兵器は搭載されていなかったと記述している。イスラエル軍が、マヴィ・マルマラ号という、船の一隻に乗船するようにみえたとき、ほんの一部の乗客の集団は、船の手すりから切り出した木材や鉄材で武装した。

 

同氏は、マヴィ・マルマラ号から、イスラエル兵士を乗せてきたボートに向けられた射撃がなされた証拠はないと付け加えた。しかし、兵士が船のデッキに降りた際に、複数のヘリコプターから実弾と非致死性射撃が用いられた。

 

議長は、「イスラエル兵士がマヴィ・マルマラ号の乗客に対し実弾を用い、9人を殺害し、実弾で50人以上を負傷させた。死亡者のうち、6人は即決の処刑の被害者であり、2は重傷を負って自衛できなくなったあとに射撃された」と述べた。

 

調査団が、その一連の任務遂行の中で100以上の目撃者に、ジュネーヴ、ロンドン、イスタンブール、アンマンで聴き取りを行った結果、ひとたびイスラエル軍がマヴィ・マルマラ号の完全な支配権を掌握すると、一部の例外を除いて乗客は、手錠をかけられ長時間にわたりひざまずき続けていたことが明らかになった。

 

「乗客は、蹴られたり、銃で突かれたりといった暴行を受けた。その他の3隻に乗っていた乗客も、イスラエル軍が支配権を掌握した時に、彼らの不必要な暴力にさらされた」と議長は述べた。

 

 彼らが最終的にアシュドット港で下船したとき、イスラエルに不法に入国したとの自白調書に署名させようと試みられ、署名や指紋押捺を拒否した一部の者らはさらに殴打を受けた、とハドソン・フィリップス判事は述べた。

 

同判事は、「海岸での扱いは、軍が支配権を掌握した後の船上での扱いの継続であった」と報告し、苦難の最後に、乗客は、テルアビブ近くのベングリオン国際空港での国外追放前の殴打を含む、さらなる暴力に耐えなくてはならなかった、と付け加えた。

 

調査団は、ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の前裁判官であるハドソン・フィリップス判事に加えて、勅選弁護士でありシエラレオネ戦争犯罪法廷の主任検察官であったデスモンド・デ・シルヴァ卿、マレーシアの人権専門家であり、女性差別撤廃委員会の前委員であったシャンティ・ダイリアム女史により構成された。

 

“UN rights probe into Gaza flotilla incident rebukes Israel for ‘unnecessary’ violence”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=36223&Cr=flotilla&Cr1=&Kw1=rights&Kw2=&Kw3=