(2010年9月27日) 国連の監視委員会は、イスラエルが、21カ月前のガザにおける激しい衝突の際に発生した、深刻な人道的侵害に関するすべての嫌疑を調査しなかった可能性があることを憂慮しており、また、ハマスが自らの側の人権侵害の嫌疑の調査をきちんと行った証拠はないと述べた。
しかし、監視委員会は、ガザ紛争に関する国連独立事実調査団の報告書(ゴールドストーン報告書として知られる)で取り上げられた嫌疑に関する、イスラエルとパレスチナによる、国内手続、法的手続、もしくはその他の手続を評価するために、国連人権理事会により任命されたものであるが、同委員会はヨルダン川西岸地区の被占領地を支配しているパレスチナ当局が、当初から、この委員会に協力する用意があることに言及した。
ゴールドストーン報告書は、イスラエルがガザからのミサイル攻撃への報復として行ったと述べたキャスト・レッド作戦の最中に、イスラエル軍とパレスチナ過激派がいずれも深刻な人権侵害と人道法違反を犯した責任がある、と述べた。1,400人以上のガザ住民が殺害され、5,000人が負傷し、住宅、学校、病院、市場が瓦礫と化した。
クリスチャン・トムシャット議長は、本日、理事会にその調査内容を報告する際に、「委員会はこの報告を、両者が法の支配を厳格に順守することの要求だと考えている。委員会は、未解決となっている、ガザ紛争の際に犯された違反行為についての今後の取扱いに関し、委員会報告書の調査結果に、両者が注意を払うことを望み、それを信じている」と述べた。
委員会は、イスラエルが「確かに、多くの訴えのうち、いくつかへの対処を始めた」ことに言及した。クリスチャン・トムシャット議長は、委員がイスラエルの捜査官と話をすることをイスラエルが許可しなかったことに遺憾の意を示しながらも、都市での武力衝突における民間人の保護のための新規の手続や、深刻な火傷を引き起こす白リン弾を含む、軍需品に関する政策原則の確立など、イスラエルの肯定的な措置を引用した。
「しかし、委員会は、引き続き、すべての深刻な国際人道法違反の嫌疑が調査されているわけではないことを憂慮している。」
トムシャット氏は、調査が国際基準に沿ったものかを実証する情報の不足、「透明性の根本的な欠如」、軍事法務総監が、ガザ作戦の計画立案に関与した政府のアドバイザーでありながら、刑事捜査に個別事件を送致する責任者でもあるという中立性(に対する疑念)の問題に言及した。
「また、イスラエルは、民間を標的とするのではない、正当な軍事標的に関する軍事ドクトリンについての全般的な見直しを控えてきたようにも思われる。」と同議長は述べた。「(ゴールドストーン)事実調査団は、立法評議会の建物を含む、ガザ地区の政府のインフラ全体が正当な標的であるとのイスラエルの見解を退けた。」
委員会は、また、ハマスが2007年にパレスチナ自治政府から支配権を奪った、ガザ地区を訪問することができなかった。トムシャット氏は、イスラエルに向けられた嫌疑に主に焦点を当てたことに言及しながら、「不幸なことに、ガザの事実上の当局から、委員会が受け取った2つの報告は、事実調査団の報告書で指摘された侵害に関するしっかりとした調査が行われたことを示していなかった」と述べた。
イスラエルの拒絶により、委員会はヨルダン川西岸地区も訪問することができなったが、同氏は、パレスチナが独立の委員会を通じて嫌疑を調査したという調査方法を歓迎した。
「しかし、特に、適切な場合には、違反行為の実行行為者として嫌疑を受けている者に対する刑事訴追を開始することにより、調査結果を執行するために、実際の措置が講じられなければならない」と同氏は述べた。
“UN experts call on Israel, Palestinians to abide by rule of law in Gaza conflict probes”
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=36214&Cr=gaza&Cr1=&Kw1=rights&Kw2=&Kw3=