(ニューヨーク 2010年4月16日)
国連人権担当官トップは、本日、ハマスがガザ地区において死刑執行を再開したことに対し懸念と失望を表明し、「事実上の」政府当局であるハマスに死刑の利用を廃止するよう求めた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の発行したニュースリリースによれば、イスラエル政府によるパレスチナ占領に関連した「犯罪」により訴追された2名の囚人が、4月14日の夜から15日にかけて、ガザにおいて処刑された。
人権高等弁務官ナヴィ・ピレイ氏は「私は、死刑執行が行われたこと、そして、近いうちにさらなる死刑執行が行われる可能性があることを深く懸念している。」と述べた。
ピレイ氏は、2007年6月からパレスチナ自治政府に代わってガザを支配しているハマスが、2000年以降、同地域で公式に宣告された死刑判決を一切執行してこなかったにもかかわらず、再び死刑を用い始めたことには「特に失望している」と付け加えた。
ピレイ氏は、広く支持を受けている、世界規模で死刑執行の一時停止を求めた2007年の国連総会決議に言及しながら、「私はハマスが立場を再考し、死刑に対する国際社会の確固たる拒絶を尊重する姿勢を表わすこと、ガザにおける死刑の利用を撤廃すること、生存権を十分に守り促進することを求める」と述べた。
ピレイ氏は、未確認の情報ではあるが、さらなる何人かの囚人に対し近いうちに死刑が執行される可能性があることに警鐘を鳴らした。国連人権高等弁務官事務所は、水曜日にハマス当局が多くの死刑囚の家族に電話し、息子たちに最後の面会をする機会を設けることを伝えた、との情報を得た。
「死刑には、適正に構成された裁判所での公正な裁判の保障が遵守されなければ死刑を科すことができない、という絶対的な制約があるが、現在のガザの状況ではそれは事実上不可能である。そのため、私は、ハマスに対し、さらに予定しているすべての刑の執行を中止するよう強く求める」とピレイ氏は述べた。
国連人権高等弁務官事務所によれば、ガザの事実上の政府当局であるハマスは、3月24日に、犯罪者とされている数人に刑を執行すると決定したことを公表した。4日後、ハマスは、適用法令の上では死刑判決の執行にはパレスチナ自治政府大統領の承認が必要であるにもかかわらず、死刑判決の承認手続を開始したことを発表した。
ピレイ氏は、パレスチナ自治政府が現在検討中の、死刑の廃止を求める法案を歓迎していると付け加えた。
“UN human rights chief urges Hamas to halt executions”
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=34385&Cr=death+penalty&Cr1