（2009年12月15日）

 国連パレスチナ委員会は本日、「継続するイスラエルの違法行為に対し、早急かつ断固とした行動を起こすよう」国際社会にむけて求め、被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの入植活動は国際法の構造全体を損なわせる危険があると警告した。

 国連パレスチナ委員会（パレスチナ人の不可譲の権利行使に関する委員会）（Committee on the Exercise of the Inalienable Rights of the Palestinian People）の国連事務局は、声明において、「イスラエルの国際法違反はイスラエルとパレスチナの紛争という文脈をはるかに超えており、既存の国際的な法制度の信用を傷つけ、制度自体を無視し、深刻に傷つけることによって、世界の他の地域における紛争状況にも悪い影響を与えかねない。」と述べた。

　さらに声明は、イスラエルは入植活動を一時的に停止してはいるが、紛争の二国間解決のための計画であり国際的な支持を受けているロードマップはイスラエルに対し、自然増加も含めて全ての入植活動を凍結するよう、そして2001年3月以後の入植地を直ちに撤去するよう要求しており、イスラエルの入植活動の一時停止はロードマップに基づく同国の義務を到底満たすものではない、と述べている。

　イスラエルの入植活動の継続のため、イスラエルとの政治的対話の再開は意味を成さないというパレスチナ側指導者の立場を、同事務局は全面的に支持し、イスラエルの入植地での建設の一時的停止さえも、東エルサレムの被占領地をあからさまに例外として扱うことによって、その意味がいっそう損なわれたことを挙げている。

　声明はさらに、イスラエルが、「占領国は、その占領している地域へ自国の文民の一部を追放し、又は移送してはならない。」と定めるジュネーブ第4条約を含む国際人道法の規定に全面的に拘束されていることを繰返し強調した。

　そして、声明は、同条約の加盟国に対し、この問題を扱う会議を招集するなど、「同条約が確実に尊重されるために適切と判断される措置を、各国個別にまたは集団的に講じるよう」求めている。

　同事務局は、また、入植者に関係する暴力的な事件や挑発の近時の増加に対して「深い懸念」を表明しており、パレスチナ民間人に対する攻撃がほとんど連日報じられていることに触れている。それによると、「入植者たちはパレスチナ民間人を狙撃し、財産に損害を加え、礼拝の場を破壊し、樹木を掘り返し、農地を焼き払い、穀物を台無しにしてきた。彼らはパレスチナ人の男性、女性、子どもたちを、威嚇し、悩ませ、物理的に攻撃している。」

　「サルフィットの北東にあるヤスフ村で先週モスクが焼かれた事件も、入植者による犯罪の明らかな一例である。入植者の暴力については、イスラエル法による適切な取締りがなく、ほとんど黙認された状態であるため、より緊張を増幅させ、紛争がまた深刻化することにつながる可能性もある。」

　関連する出来事として、国連人道問題調整部(OCHA)が本日、ヨルダン川西岸地区のエリアCと呼ばれている地域におけるイスラエルの極端に制限的な区分体制に関する報告書を公表している。エリアCはヨルダン川西岸地区の60%を占めるが、パレスチナ人人口の圧倒的大多数はエリアAとBに居住している。

<http://www.ochaopt.org/documents/special_focus_area_c_demolitions_december_2009.pdf>

　エリアCは、主要居住地域の中心を開発するために必要な用地、および農地・牧草地の重要な部分を含み、また西岸地区で唯一の断絶のない領域であるために、大規模なインフラ・プロジェクトを実施するには決定的に重要な地区である。

　しかし、OCHAによると、エリアCの約70%において、パレスチナ人による建設は実質的に禁止されており、さらに残りの30%においても建設許可を得る可能性は、さまざまな制約によって事実上絶たれている。

　このような制限的な土地利用計画体制のために、エリアCのほとんどの地域で、建設を希望する何万人ものパレスチナ人は、居住の必要から自分たちの土地での無許可建設を実行するより他に選択枝がない状況におかれている。その結果、建物を破壊され、そこから立ち退かされるという危険にさらされることになる、とOCHAは報告している。

“International community must act against Israeli settlements – UN committee”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=33270&Cr=palestin&Cr1=#