【世界の人権・アメリカ】 2010/07/21 国連専門家はアメリカに対し、グアンタナモ収容者の強制送還を行わないよう強く要請

2010721日) 2名の独立国連人権専門家は、グアンタナモ湾収容所閉鎖への米国の尽力を歓迎するも、移送すると拷問を受ける可能性のある国にはいかなる者も強制移送しないことを保証するようアメリカ政府に求めている。

 

 拷問に関する国連特別報告者のマンフレッド・ノーワック氏と、人権とテロ対策に関する国連特別報告者マーティン・シャイニン氏は、グアンタナモに収容されている2名のアルジェリア人移送を容認したアメリカ連邦最高裁の最近の2件の決定に対し注意を促した。

 

 「彼らが直面し得る危険への適正な評価を行わずに、2名のアルジェリア人収容者の意思に反して母国に帰還させた場合、彼らの生命に危険が及ぶ可能性があると非常に危惧している。」と専門家たちはニュースリリースで述べた。

 

 20091月に就任した直後のバラク・オバマ大統領の施設を閉鎖するという決定は、潘基文事務総長とナヴィ・ピレイ国連人権高等弁務官から、アメリカの指導者が基本的権利の尊重を最優先したと歓迎された。

 

 「グアンタナモ収容所閉鎖への当局関係者の努力は評価するが、危険性評価は有意義かつ公正な手続であるべきで、また裁判所もそうでなければならない。」と特別報告者らは述べた。

 

 メディアの報告によると、問題の2名のうちの1名であるアブドゥル・アジズ・ナジ氏は既にアルジェリアに送還されている。彼はグアンタナモに収監されていた6名のアルジェリア人グループの1人で、アルジェリアに送還されたら公安局や非国家主体により拷問やその他の形での虐待を受けるかもしれないと恐れていた。

 

 「外交保証は頼りにならず、監視も困難で、個人が直面する現実の危険性を評価しなければならないという送還する国が負う義務に、取って代わることは出来ない。」と専門家らは述べ、これはオバマ政権によるグアンタナモ収容者の最初の非自発的移送になったかもしれないと付け加えた。  

 

 国連特別報告者は独立した無報酬の立場で仕事を行い、ジュネーブの人権理事会に報告をする。

 

“UN experts urge US to ensure no Guantánamo detainees are forcibly returned”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=35374&Cr=torture&Cr1=&Kw1=detainees&Kw2=&Kw3=