(2007年10月29日)
国連の独立人権専門家が今日、スリランカは拷問を防ぐための措置を実施してはいるが、この残忍な行為は実務的に広く行われていると述べた。この告発に、同国代表は反論している。
「検察庁(Attorney General’s Office)によって起訴された拷問事件数の多さ、基本的人権侵害にあたると決定されたスリランカ最高裁の判決数、国家人権委員会が毎日のように受け取る多数の申立て、これらから判断して、拷問がスリランカで実務的に広く行われていると考えられる。」と、国連総会の社会・人道・文化問題に関する委員会(いわゆる第三委員会)で、マンフレッド・ノーワックは述べた。
「拷問の実施は、テロに対する戦いという文脈の中で、日常的なことになりつつある。」と、拷問及び他の残虐な、非人道的な、もしくは品位を傷つける扱いまたは刑罰に関する国連特別報告者のノーワック氏は付け加えた。
ノーワック氏は10月1~8日のスリランカ訪問期間中、自白を引き出すため、あるいは、(拘束の根拠となった犯罪とは)別の犯罪に関係する情報を得るために、警察によってひどい扱いを受けたという拘留者たちの「整合性があり、信頼できるおびただしい数の申立てを」受け取ったと言う。軍隊についても同様の申立てを受け取っている。
同委員会においてスリランカのパラサド・カリヤワサム大使は、ノーワック氏によって品位を傷つける扱いに相当すると表現されたスリランカの監獄における拘留環境について、いやしくも同国代表として見解の違いがあると表明した。
同大使は、過密であるのは財源の制約によるものだと述べた上で、スリランカは(人権条約上の)国際的な義務に注意を払っていると、付け加えた。
無償で独立の立場で任務にあたっている同特別報告者はまた、スリランカ政府が、拷問を犯罪とし、実行者を処罰する努力の中で、1994年に拷問法を制定したことを指摘した。この法律のもとでかなりの数の起訴がなされたことは前進であるが、ノーワック氏は、これまでに有罪宣告されたのがわずかに3人であることを非難する。
「拷問関連の裁判で、最高裁が高い水準の証明を求めていることから、これまで確認された事実によっても、刑法法廷における有罪判決が増えることにつながらないのは遺憾である。」と同氏は述べた。
拷問が実務的に広く行われていることをスリランカ政府は認めないが、ノーワック氏は委員会での報告の後、記者団に対して、「私は確信しているし、十分な証拠を持っていると思う。」と述べた。
スリランカ大使は、スリランカで拷問が実務的に広く行われているという発言には丁重に反対するとし、統計では拷問が極めて稀であると述べた。しかし、スリランカは特別報告者の提言を十分考慮し、専門的支援に向けた行動を歓迎すると述べた。
大使はノーワック氏の任務に謝意を表し、今後も国連と特別報告者の任務に協力し、特別報告者の提言すべてに対処するために建設的に関わっていくことを表明した。
拷問を含むもっとも深刻な人権侵害の疑惑は、そのほとんどが政府とLTTE(タミール・イーラム解放の虎)との紛争に関わっていると、ノーワック氏は付け加えた。しかし、軍事基地内の拘留施設やLTTEが運営する拘留場所を訪問することができなかったので、これについて語る立場にないとも述べた。
ノーワック氏は、スリランカに加え、昨年は、パラグアイ、ナイジェリア、トーゴを訪問した。来月にはインドネシアを、来年初めには赤道ギニアとイラクを訪れる予定である。
“UN human rights expert reports allegations of torture in Sri Lanka”
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=24457&Cr=sri&Cr1=lanka