(2007年11月8日)
UNMIT(国連東ティモール統合ミッション)は、同日レポートを発表し、この新しい国で人権の促進に進展が見られると伝えたが、他方で、同レポートは、国内避難民を助けるために、そして不処罰を防ぐために、さらなる措置を求めている。
同レポートは、2006年8月から2007年8月の進展を検討し、東ティモール国民は、言論の自由、政府批判の自由、集会の自由、宗教の自由などさまざまな人権を享受していると、述べている。
さらにレポートによると、治安は大部分コントロール下に置かれるようになり、今年の大統領選挙と議会選挙は概ね、すべての陣営が意見を述べることができ、暴力や威嚇のない環境で行われたという。
同レポートは、「人権と正義のプロヴェドール(オンブズマン)事務所」の活動が拡大していることと、東ティモール人の判事、検事、公設弁護人の宣誓就任がすすんでいることについて、賞賛している。
しかし、32ページにわたるこのレポートは、数多くの国内避難民がいまだ当座しのぎのキャンプ生活をしていること、彼らの苦境に対する恒久的な解決への進展が見られないことに、懸念を表している。また性差別による暴力が蔓延しており、DV法の草案も数年の間、審議中のままになっていると指摘する。
同レポートによれば、司法制度が、地方において特に貧弱なため、司法を有効に利用することが制限されていると述べている。多数の訴訟が係属中のまま滞留しており、それが裁判所の機能を滞らせ、法的救済への被害者の権利を侵害している。国内避難民問題の解決にとって深刻な障害となる所有権紛争を処理する法的制度も、まだ存在しない。
レポートは「警察の中立性を脅かす深刻な政治的偏りの事例」を指摘し、また、恩赦立法の採択への動きが不処罰を助長する危険を冒したと警告している。
「東ティモールの指導者たちと国民が最終的に目標としている、平和で豊かな民主主義を達成するには、特に貧困との闘い、治安組織の改革、法の支配の尊重を強化することなどにおける、さらなる進歩が必要である。」とレポートは述べている。
潘基文事務総長東ティモール特別代表のアトゥール・カーレ氏は、「東ティモールはまだ多数の課題を抱えている。しかし、同国の指導者たちは人権への決意を表明しており、この表明はすべての国民にとって有益となりうる環境をつくることに役立つだろう。」と述べた。
レポートはその提言の中で、大統領が新しい刑法を公布すること、議会が土地・所有権についての諸法を通過させること、政府が国内避難民問題を恒久的に解決するための包括的戦略を立てることを求めている。
司法は2006年の4-5月に起きた犯罪の刑事責任を明らかにすることを求められている。当時の東ティモールにおける騒乱で、少なくとも37人が殺害され、人口の15%にあたる15万5千人が家を追われた。同国は2002年国連の支援のもとインドネシアから独立した。
「UNMITはこの(人権促進のための)過程において東ティモールの政府と国民を助ける準備ができている。」とカーレ氏は強調した。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=24587&Cr=Timor&Cr1=&Kw1=Timor%2DLeste&Kw2=&Kw3=
“Timor-Leste: UN human rights report lauds progress but warns gains still fragile”