【世界の人権・カンボジア】2007/05/31 国連特使がカンボジアでの人権問題改善にむけての改革を呼びかける

(2007年5月31日)

国連特使は今日、カンボジアでの法制度改革を歓迎し、この東南アジアの国で長く待たれていたこれらの法の適用が始まり、不公正な裁判手続きやその他の人権侵害が正されることに期待すると表明した。
http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/view01/DEAA94AAF3EC046AC12572EC004A178F?opendocument

 カンボジアにおける人権に関する潘基文・国連事務総長の特別代表であるヤシュ・ガイ氏は、刑事訴訟法が「カンボジアの司法制度につきまとってきた多くの問題を克服することを望む。刑事訴訟法の施行を政府は最優先に行うべきである。」と述べた。

 ガイ氏は2007年5月29から31日にカンボジアへ3回目の公式訪問をしたが、特に残念に思うこととして、上訴裁判所の先頃の決定について述べた。上訴裁判所が、強力な無実の証拠があり、「基本的に欠陥のある」手続きであったにもかかわらず、労働組合リーダーの殺人に関する(第一審の)判決を支持したものだ。

 同氏は声明で、「このような(第一審)判決を認めることは深刻な不正義であり、チェア・ビチェアの殺害について徹底的で偏りがなく信頼できる捜査がなされること、責任を負う者が起訴されることを、特別代表として繰り返し求める。」と述べた。

 さらにガイ氏は、1970年代後半の大量殺戮と恐るべき犯罪の責任を問われている、かつてのクメール・ルージュ幹部たちを裁くために設置された裁判所の「内部規則」が、速やかに採用されるよう希望を述べた。また、不法な行為に対する審理及び捜査が、独立に国際的にモニターされることが重要であると強調した。

 同氏は他の問題では、労働者運動の参加者たちに対する脅迫が続いていることに警戒感を示し、また、土地使用特権に関して人権の視点から検討したレポートを近く提出すると述べた。その中で同氏は、エリートを富裕にするために、農村コミュニティの生活が破壊されていると主張している。

 一方、4月1日の地方(コミューン)評議会選挙が、これまでの選挙に比べて暴力、脅迫、対立がより少ない雰囲気の中で行われたことを前進と認めた。ただし、投票率の低下についての調査が待たれるとも述べた。

 来年の総選挙で投票したい人には「必ず登録、投票の機会が与えられなければならない」し、政党にも「公平で自由に選挙運動ができる」機会が与えられなければならない、と述べた。

 同特別代表は滞在中にサル・ケン副首相に会見したが、会いたかったそのほかの政府高官のいずれにも会うことができなかったことは、残念であると述べた。しかしながら、市民社会、政党、国家選挙委員会、国連各機関、外交筋とは会うことができた。

“UN envoy calls for reforms to address human rights concerns in Cambodia” http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=22753&Cr=cambodia&Cr1=&Kw1=Cambodia&Kw2=&Kw3=