【世界の人権・アフガニスタン】2007/02/02 人権蹂躙を犯した者に不処罰の恐れ 国連が懸念表明

アフガニスタン下院議会は今週、国家安定計画を通過させたが、今日、国連の人権担当トップは、その計画では過去の深刻な人権侵害が不処罰のままにされ、戦争に苦しんだこの国の長期的な平和を保障しようという努力を損なう恐れがあると、懸念を表明した。

 国連人権高等弁務官ルイーズ・アルブールは、「深刻な人権侵害の責任を負う者は、裁判にかけられなければならない。」と声明の中で述べ、実効的な司法制度の確立を保障すると既に意思表明しているアフガニスタン政府に対して、その約束を履行するように求めた。「これは今の世代と将来の世代の両方にとって、死活問題である。」

 彼女は「我々は繰り返し経験してきているように、実効的で継続的な国民和解は、国際的な人権基準と法の支配の尊重を土台にすべきであり、それを犠牲にすべきでない。」とも述べた。この計画によれば、国民和解を求めるために、過去25年にわたって戦ってきた敵同士は、法律と裁判のプロセスを通らずに扱われるべきことになっているという。

 ハミド・カルザイ大統領は先月『平和、和解、正義の行動計画』を公表した。アルブール氏は、同行動計画が、その目的の中でも、特に、不処罰を阻止し、戦争犯罪、人道に対する罪、その他甚大な人権侵害への大赦を許さないことを追求していたと指摘する。

 この行動計画はまた、このような事件を扱うには、イスラム、国際法及び移行期司法(トランジショナルジャスティス)の諸原則に沿った、公平で実効的な司法手続きを確立することを目指すものであり、アフガニスタン政府による意思の表明である、とも弁務官は述べた。

 「犠牲者の声に耳を傾けなければならない。彼らはすでに、アフガニスタンの不処罰の文化を止めなくてはならないとはっきり声をあげている。」アルブール氏はこう述べ、さらに、アフガニスタン・コンパクトで示された目標に達するよう、この行動計画の実行を精力的に継続するよう政府に求めた。アフガニスタン・コンパクトとは、昨年2月ロンドンで、アフガニスタンと各国・国際協力機関などの間で調印された、国家再建5カ年計画のことである。

(出典) UN News 
Afghanistan: UN voices concern at possible impunity for human rights abusers