(2010年9月20日) 国連は、ネパール当局が、武力紛争中の強制失踪の犠牲者であるとされる5人の学生の埋葬地跡とされる場所の発掘を執り行ったことを評価した。国連は、発掘が人権侵害について正義を確実に果たすために役立つと述べている。
昨日のプレス・リリースで、国連の人権高等弁務官ネパール事務所(OHCHRネパール)の代表代行であるジョティ・サンゲラ氏は、「この発掘は、紛争にかかわる人権侵害の重要で象徴的な事例について、移行期の正義(トランジショナル・ジャスティス)と責任の明確化を促進するために重要な一歩である。」と述べた。
OHCHRは一貫して、政府とネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)に対し、人権問題に取り組み、10年に渡って続いた内戦の間に行われた人権侵害について責任を確実に果たすことを求めてきた。2006年に、和平協定への調印により内戦が終結するまでに約13,000人の命が失われた。
サンゲラ氏は、国家人権委員会(NHRC)が、失踪者の家族の要求に応じて行動したことによって、「被害者の真実を知る権利を尊重し、正義を求める権利を実現する望みに力を与えた」と述べた。
NHRCの専門家が指揮し、ネパール警察や国内外の法医学的捜査専門家によって構成された発掘チームは、OHCHRの支援のもと、ダヌシャの埋葬地跡で4人の遺体を発見した。
土曜日に発掘は一時中止され、失踪したとされる5人目の遺体を発見するために後日再開される。
OHCHRは、発見された遺体は、専門家がDNA分析を行い、埋葬された人を特定するために、そして最終的には強制失踪事件を明らかにするために極めて役に立つものだと指摘した。
2009年2月に最高裁は、ネパール警察に対し、第一次情報報告書(First Information Report 被害届)を受理登録し、ダヌシャで起こった失踪事件の調査を進めるよう命令した。発掘は、この決定を実行に移した初めての成果であると位置づけられる。
「紛争中に行われた人権侵害に関するネパール最高裁判所の重要な判断が、実行に移される余地が開かれてきた」とサンゲラ氏は述べた。
OHCHRは、2005年にネパールに事務所が設立されて以来、人権について監視と報告を行い、国家機関と市民社会に対し、訓練と技術的な支援を行ってきた。2006年の和平協定も、OHCHRに対し、同協定中の人権に関する規定について監視するよう求めている。
“Exhumation of Nepalese burial site will help advance justice-UN”
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=35996&Cr=Nepal&Cr1