(2007年11月23日) 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ネパール事務所は、ネパール共産党マオイスト(毛沢東派)(CPN-M)とその関係組織が、人民解放戦線(PLA)から自主的に離脱した、徴用当時18歳未満だった者を、宿営地へ戻るよう威圧したり強制したりしていたという報告が増えていることについて、懸念を表明した。
「18歳未満の若者を宿営地へ戻るよう強制または圧力をかけることは、CPN-Mとネパール政府の間で取り結ばれた包括的和平協定の中の、戦闘部隊に関わった未成年者は即座に解放し、その社会復帰・社会再統合のための『必要かつ適切な協力』を行うという誓約にそむくばかりでなく、子どもの権利を侵害するものである」と同事務所は声明を出した。
同声明によると、国連人権高等弁務官ネパール事務所が記録したケースの一例では、5月にチトワンの宿営地を離れてマクワンプール郡の実家へ戻った2名の未成年者が、強制的に連れ戻す目的でマオイストの幹部によって追跡されていた。
国連と現地のNGOが介入し、「少女たちが宿営地へ戻されることはなかった」が、11月19日、マオイスト幹部は彼女たちの家へ再び訪れ、うちひとりは逃げたが、もうひとりは拉致されている。
マオイスト幹部から、この少女は1週間以内に開始が予定されている照合プロセスのためにチトワン宿営地へ連れて行かれるとの通知を受けた際、警官はこの拉致を阻止することが出来なかったか、もしくはその意思がなかった。
また、OHCHRネパール事務所に通報された他のケースでも、未成年者に宿営地への戻らせる圧力は、照合の実施と時を同じくしていた。
同事務所はまた、人権の守り手たち(human rights defenders)や、以前に軍隊および武装集団と関係を持っていた未成年者の社会復帰に携わる人々を、CPN-M幹部が脅迫していたとして、懸念を示している。
「OHCHR職員が行った地方・地域レベルでの介入にもかかわらず」、ネパール警察は「CPN-Mに法を尊重することを強制することに消極的」な姿勢を示した。
ネパール事務所代表のリチャード・ベネット氏は、CPN-Mは和平協定を遵守し、自主的に社会復帰の取組み
を始めた未成年者の権利を尊重するべきであり、彼らを宿営地へ強制的に連れ戻すようなことはしてはならないと述べた。
「CPN-Mはまた、いまだに宿営地内にいるすべての未成年者が、家族のもと、ひいては一般市民としての生活へ戻れるよう、彼らを正式に解放する手続を加速しなければならない」と同氏はつけ足している。「さらに必要なことは、ネパール警察がその義務を果たし、自主的に社会復帰の取組みを始めた未成年者たちを守るとともに、彼らの社会復帰を支援している個人や団体の安全を保障することである。」
UN urges Communist Party of Nepal-Maoist to cooperate on minors