【世界の人権・ネパール】2009/12/09 国連及び諸外国使節団が、失踪に対する調査を要求

2009129日 ニューヨーク)

 ネパールを訪れた諸外国使節団は、国連が正義と補償を求めた報告書をまとめてから一年が経過した今日、ネパールにおける10年にわたる内戦の間に起きた一連の失踪について、責任者を不処罰にしておくことに終止符を打つよう要求した。

 

 8カ国とEUの代表、およびネパールの国連人権事務所の代表は、バルディヤ郡を訪問した。そこでは、約13,000人の生命を奪ったと言われ、2006年に政府とマオイスト(ネパール共産党毛沢東派)の間に和平協定が結ばれて終結した紛争の中で、2001年から2004年の間に少なくとも170人が失踪した。

 

ネパールの国連人権高等弁務官事務所(OHCHR-Nepal)によると、バルディヤでの失踪の犠牲者は、適正手続を経ずに、逮捕拘束されたものである。彼らはさらに、肉体的、精神的拷問を受け、そのうちの多くが処刑されたと推定されている。これは明らかにネパール国内法及び国際法に違反する。

 

これらの事件は、OHCHRと国家人権委員会(the National Human Rights Commission)の双方によって、文書上十分に裏付けられているが、また2007年にネパール最高裁判所の判断も下されているにもかかわらず、一連の重大な訴えに対し何ら公式の調査は行われていない。

 

本日、紛争犠牲者委員会(Conflict Victims Committee)と犠牲者の親族に面会した使節団は、「今こそ、過去の犯罪の責任を問い、これらの恐ろしい犯罪に関与した兵士、警察官、マオイストの不処罰に終止符を打つために行動するときである。」と、声明の中で述べた。

 

「明白なことながら、遺族らの真実と正義を求める要求を、実現せずにおくわけにはいかない。」

 

使節団はまた、悪名高いバダプールのバダ橋も訪れた。ここで20025月、9人が王立ネパール軍によって略式処刑を受け、砂地に遺体が埋められたといわれている。

 

「軍、警察、マオイストが協力することを長期間拒絶してきたために、親族の苦悩が長引き、公正な裁きが遅延されてきた。」と、使節団は強く述べ、統一ネパール共産党・マオイスト(the Unified CPN-Maoist)に対し、紛争の間にマオイストに誘拐された個人の結末を明らかにすること、また調査に協力することを求めた。

 

「同様に我々は、ネパール政府に対し、失踪に関わったネパール軍員やその他の公務員に法の裁きを受けさせること、そして犠牲者や犯罪の目撃者(証人)を保護する措置を講じることを、確実に行うよう要求する。」

 

「紛争の負の遺産が効果的に処理されることによってこそ、信頼、真実、和解の上に続くネパールの平和、民主主義、発展への移行が可能となる。」と使節団は声明で述べている。

 

9人の使節団は、オーストラリア、デンマーク、フィンランド、EU、ドイツ、ノルウェー、スイス、イギリス、アメリカ合衆国の各代表者から構成された。

 

“UN, foreign envoys call for investigation into disappearances”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=33191&Cr=nepal&Cr1=