【世界の人権・タイ】 2010/05/17 国連人権担当官トップが政府とデモ隊に対し瀬戸際状態から撤退することを要求

2010517日)

国連人権担当官トップは、タイにおける、死者を出す暴力の激化に対する強い懸念を表明しながら、本日、反政府デモ隊と治安部隊に対し、瀬戸際状態から撤退し、現在の対立状態について平和的な解決を模索することを要求した。

 

人権高等弁務官ナヴィ・ピレイ氏は、数十人が犠牲になったとされる暴力行為について、「私は、指導者に対し、タイ国民の利益のために自尊心と政治的かけひきをわきに置くよう要求する」と述べた。

 

 「政府の最終期限が過ぎると、状況が制御可能な範囲を超えるリスクが大きい。さらに命が失われることを防ぐために、私は、デモ隊に対し瀬戸際状態から撤退すること、治安部隊に対し政府からの指示に沿って最大限の抑制を行うことを要請する。究極的にはこの状況は交渉によってしか解決できない。」

 

潘基文事務総長が金曜日、すべての関係者に対して、対話を再開し、さらに命が失われることを避けるべきだと求めたのに呼応して、ピレイ氏は、国民的な和解への「ロードマップ」の策定を含めて、政府が過去数ヶ月間にわたり、状況を解決するために努力したことは認識している、と述べた。

 

ピレイ氏は、治安部隊によるいかなる実力の行使も、普遍的な人権基準に沿って行われるべきで、政府が、実弾の使用を規律する3つの確固たる原則警告のため最初に空中に向かって発砲されなければならないこと、自衛または救命のための最後の手段として用いなければならないこと―を定めたと保証したことを歓迎した。

 

「法執行官は、世界人権宣言やその他の条約で保障されているように、生命に対する権利を保護する上できわめて重要な役割を果たす。」「秩序の回復という彼らの明確な責任は認識しているが、有形力と銃の致命的な使用は、生命保護のために絶対に不可避であるという場合にのみ許容される」とピレイ氏は述べた。

 

ピレイ氏は、タイのアビシット・ウェーチャチーワ首相が、最近の暴力について事実確認のための独立した調査を始めることを約束したことに言及しながら、紛争の平和的解決への一歩として、事件自体と混乱の背景にある原因について公平かつ完全な調査を行うことの重要性を強調した。ピレイ氏は、すべての政党は自身の行動に説明責任を負うことになると認識すべきだと述べた。

 

 Thailand: UN rights chief calls on Government, protestors to ‘step back from brink”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=34720&Cr=thailand&Cr1