【国際人権先例・CCPR】2002/No.1071 ウズベキスタン

Agabekova  v  Uzbekistan

通報日

見解採択日

文書発行日

通報番号

11/04/2002

16/03/2006

03/05/07

No.1071/2002

全文

http://www.unhchr.ch/tbs/doc.nsf/(Symbol)/a7914d1f5f013598c12572cd0050d75f?Opendocument

手続上の論点 

 

実体上の論点

生命の権利(6条)、残虐な刑罰の(拷問の)禁止(7条)、被勾留者の権利(10条)、裁判の公正(14条)、適正な懲罰(15)、普遍的人権(16条)

通報者の主張

通報者の息子アガベコワは、義兄のアネコフと共に、強盗殺人容疑で逮捕された。アネコフは被害者と金銭的なトラブルがあり、殺人に及んだが、アガベコワは同行して戸外で待機していただけである。取り調べの最初の1週間でひどい拷問を受け、治療を受けていない。激しく殴打され、強姦に抵抗して怪我を負わされ、ビニル袋をかぶされたりもした。面会に訪れた通報者は、頭髪が血糊で覆われ、発話が不可能なほど顔に損傷を受けているアガベコワを見ている。このような扱いは自由権規約7条、10条違反である。

予備調査で彼はアネコフと同様に、強盗殺人、そしてヘロイン所持で起訴された。タシケント地方裁判所は有罪と判断し、死刑を宣告した。裁判でアガベコワは、拷問について担当の取り調べ官の名を挙げて訴えたが、退けられた。控訴審でも死刑は覆らなかった。さらに大統領請願権を放棄することを強要された。最高裁で死刑は20年の拘留刑に減刑された。4ヶ月後恩赦があり、残りの刑期が3分の1になった。任意に死刑を宣告され、大統領請願権も剥奪されたことは、規約6条違反である。

裁判において、裁判官は有罪を決めつけ、また客観的で十分な捜査はなく、証拠はアネコフの供述のみであった。このような裁判は公正を欠くもので、14条違反である。

また15条、16条に保証される権利も侵害された。

当事国の主張

 アガベコワとアネコフは金銭の貸し借りで被害者2名と争いになり、ナイフで殺害した後、金銭と断続器を強奪した。同日ヘロインを購入し、吸引した。残りはアネコフのアパートで発見されている。タシケント地方裁判所において死刑判決、最高裁において20年の拘留に減刑された。

委員会の見解

1) 受理可能性について

・ 他の国際的手続きはなされておらず、また当事国も国内的救済が尽くされていることは争っていない。

・ しかし、6条については、現実に死刑から減刑されていること、また通報者は大統領請願を実際に行っている事実からみて、受理不可能である。

・ さらに通報者は、裁判所による事実と証拠の評価について述べ、14条違反を訴えているが、それらは当事国裁判所がすべきことであるし、裁判記録のコピーや不服申し立てのコピーが提出されておらず、出ているだけの情報では、裁判が明白に任意であるのか、正義を否定するものであるのか判断できないので、受理不可能。

・ 15条、16条についても、具体的に示されていないので受理不可能。

・ 7条と10条については、受理可能である。

2) 本案について

 拷問や勾留中の虐待について、訴えがあったにもかかわらず、当局はただちに調査することを怠った。当事国から反論はなく、通報者の描写は詳細に渡っているため、信憑性が高い。従って、7条違反があったことを認める。この結論から、10条については審査の必要がないと考える。