【声明】パレスチナ:イスラエルの報復措置に抗議し、パレスチナのICC加盟を阻止する動きに反対する。

パレスチナ・オブザーバー「国家」資格に関する国連総会決議を歓迎するとともに、

イスラエルの報復措置に抗議し、パレスチナのICC加盟を阻止する動きに反対する。

 

1129(ニューヨーク)、国連総会本会議において、パレスチナに「国家」としての国連オブザーバーの地位を与える総会決議(A/RES/67/19)が賛成多数で採択された。

東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、パレスチナの民族自決権を支持するものであり、この総会決議を歓迎する。そして、「国家」としての地位を与える総会決議は、いかなる残虐な人権侵害がパレスチナの地で展開しても、加害者の責任が問われない不処罰に終止符を打ち、法の支配を確立するうえでも貴重な第一歩である。

ところが、国連の一部加盟国の中には、上記国連総会決議に賛成しながらも、パレスチナが国際刑事裁判所に関するローマ規程に加入しないよう強い圧力をかけている国も存在し極めて遺憾である。例えば日本政府は、上記国連総会決議に賛成しつつも「和平交渉再開に否定的な影響をもたらす可能性のある国際機関への新規加入等については慎重な対応が求められる」と公然と表明している。[1] 有力なヨーロッパの国々も同様の姿勢を示した。

国際刑事裁判所は、最も深刻な国際犯罪・人権侵害を裁く常設の刑事裁判所であり、人権侵害の不処罰に終止符を打ち、法の支配を実現する事を通じて平和の構築を図る国際社会にとって不可欠の機関である。こうした機関への参加を阻むいかなる動きも、法の支配と平和の実現に逆行するものであり、パレスチナにこれ以上の人権侵害と不正義をただ甘受せよというに等しく、到底容認できるものではない。パレスチナの国際刑事裁判所への加入に否定的な態度をとる国は、ただちにその恥ずべき態度を撤回しなければならない。

一方、イスラエルは、上記国連総会決議に対する報復として、決議の翌日である11月30日、ヨルダン西岸と東エルサレムでユダヤ人入植者向け住宅3000戸を建設する計画を発表し、国際社会の批判にもかかわらず、強行する構えを見せている。入植は、「占領国は、その占領している地域へ自国の文民の一部を追放し、又は移送してはならない。」とするジュネーブ第四条約49条6に明確に反する戦争犯罪行為であり、到底許されない。

さらに、イスラエルは122日、さらなる報復措置として、パレスチナ自治政府に代わって徴収している関税について、自治政府への送金を停止すると発表した。送金停止の結果、自治政府から職員への給料支払いができなくなる等、パレスチナ経済を混乱に陥れることは明らかである。

今回の国連総会決議に対する報復として、パレスチナの人々を懲罰するような行為を行うことは到底許されない。

ヒューマンライツ・ナウはイスラエルの報復措置に抗議し、イスラエルに対し、すべての報復行為を停止するよう求める。

以上