ヒューマンライツ・ナウは人権弁護士として著名なイラン人弁護士ナスリン・ソトウデ氏の逮捕と有罪判決を受けて、無条件の釈放を求める声明を発表しました。
ソトウデ氏はこれまで、ヒジャブの法律に抗議した女性たちやドメスティック・バイオレンスの被害者、迫害されたジャーナリストなどの弁護を担当してきました。
ソトウデ氏はこれまでにも、社会秩序を乱した、体制に反対するプロパガンダを広めたなどの罪で逮捕、起訴されています。
今回の逮捕でも起訴され、38年の拘禁刑と148回のムチ打ち刑の有罪判決が下されました。この逮捕はムチ打ち刑という非人道的な罰で人権活動家や弁護士の活動を制限するものです。
ヒューマンライツ・ナウはイラン当局に対して、公平な裁判と非人道的な罰則を止めるよう強く求めています。
声明文は下記のリンクからご覧になれます。
日本語:イラン人弁護士声明文201904
英語:Iran_Sotoudeh_Statement.2019.04.10
【声明】イラン人弁護士ナスリン・ソトウデ氏に対する有罪判決について
東京を本拠とする人権 NGO ヒューマンライツ・ナウはイラン当局に対してイランの著名な弁護士で、38 年の拘禁刑と 148 回のムチ打ちの刑が科されたナスリン・ソトウデ氏の無条件かつ迅速な解放を求める1。
ソトウデ氏は、恣意的に拘束された反体制派の人々や公共の場でヒジャブを取り強制的なヒジャブの法律に抗議した若い女性たち、ドメスティック・バイオレンスの被害者、死刑判決を受けた若者、迫害を受けたジャーナリストや活動家、少数派に属する宗教信仰者の弁護などで知られる。
2016 年 9 月 4 日、ソトウデ氏は当局に反対するプロパガンダを広め(1996 年イラスラム刑法 500 条)、最高指導者のハーメネイー氏を侮辱した(同法 514 条)として、欠席裁判にて有罪判決を受け 5 年の拘禁刑が科された。さらに 1 年 9 か月後の 2018 年 6 月 13 日、不明な容疑で再度逮捕された。そして、2018 年 12 月 30 日、ソトウデ氏は、強制的なヒジャブの法律に反対し、人々に不正と堕落をけしかけた(同法 639 条)として再度欠席裁判にて有罪判決を受け、33 年の拘禁刑と 148 回のムチ打ち刑が科された。その他、裁判所でヒジャブを着用しなかった(同法 638 条)、体制に反対するプロパガンダを広めた(同法 500 条)、Defenders of Human Rights Centreや LEGAM、National Council of Peace など非合法な団体に属している(同法 498 条)、社会秩序を混乱させた(同法 618 条)、社会の意見を混乱させるために嘘を広めた(同法 698 条)などの罪に問われている。判決は2019 年 3 月 9 日にソトウデ氏本人に言い渡された。いずれの訴訟においても自ら弁護人を選ぶ権利は拒否された。
ヒューマンライツ・ナウはこのような人権擁護活動家の活動を犯罪とし、市民社会や言論の自由、イランにおける宗教の自由を抑圧する動きを強く非難する。イラン政府の非人道的な刑罰を禁止する責任に反して、イランでは体罰も行われている2。私たちは国際的コミュニティと共にソトウデ氏の有罪判決と不公平な訴訟内容に強く反対し、イラン政府に対し、恣意的逮捕からの自由、言論と組合の自由、弁護人を選ぶ権利が認められた公平な裁判を受ける権利を含む国民の基本的な権利を尊重し、保障することを求める。
私たちはイラン政府に対して、ソトウデ氏の有罪判決の見直しおよび迅速な解放を求める。加えて、イランの国際的責任として、政府が法律家や活動家の正当な活動の処罰を防ぐための効果的政策をとるよう求める。
1 UNOHCHR, “Iran: UN experts “shocked” at lengthy prison sentence for human rights lawyer NasrinSotoudeh”, 14 Mar.
2019, https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=24333&LangID=E.
2 OHCHR, Situation of human rights in the Islamic Republic of Iran, 8 Feb. 2019, A/HRC/40/24, paras 12 – 13.