【声明】タイにおけるThammakaset社の人権擁護活動家に対する訴訟について

ヒューマンライツ・ナウは他の88団体と共に、タイのプラユット首相へThammakaset社の人権活動家に対する起訴の取り下げを求めて共同レターを作成しました。

Thammakaset社の一連の行動は、タイのビジネスと人権をサポートし、国際的な人権擁護を守るというスタンスに反しており、不当な起訴を行うThammakaset社の訴えは即時に取り下げられるべきです。Thammakaset社は人権活動家や元従業員に対して少なくとも13の民事訴訟を起こしており、そのほとんどは退けられているが現在でもさらなる訴訟を起こそうとしています。

Thammakaset社は14名の元従業員、全員が出稼ぎ労働者、に対して民事訴訟を起こしましたが、それはその14人が会社の労働者に対する人権侵害を報告した直後のことでした。調査の結果、Thammakaset社では、最低賃金以下の賃金や法律で定められている休暇を与えないなど明らかな人権侵害が発覚し、最高裁はタイの労働者保護法に違反したとして、この14名の元従業員に対して1.7憶バーツの支払いを命じました。

しかし、Thammakaset社は労働権利の侵害と雇い主の労働者への仕返しなどを訴えた人権擁護活動家に対して訴訟を起こしました。2018年10月ナン・ウィン氏は人権団体Fortify Rightsが作成したビデオで当社の人権侵害について話をしたところ、名誉棄損罪で訴えられました。また人権活動家のスサリー・ワナシリ氏もそのビデオをSNSで共有したところ、同じく名誉棄損罪で訴えられました。

このThammakaset社の申し立ては、人権活動家に対する報復であり嫌がらせと言えます。この訴訟はStrategic Litigation against Public Participation (SLAPP※恫喝訴訟、威圧訴訟、批判的言論威嚇目的訴訟)の象徴的な訴訟であり、これらが労働者や人権活動家にとって危険なものであることをタイ政府も認識する必要があり、このような訴訟が進まないよう、ポリシーと法律を整備する必要があります。

このようなSLAPP訴訟を阻止するために、労働者と人権活動家を「司法の嫌がらせ」から守るために反SLAPPの法律の制定などが求められています。この共同レター内で私たちはタイ政府に対して6人の国連の人権専門家が2018年5月に「企業による名誉棄損の法律の悪用を防ぐために市民法と刑法、検察側のプロセスを見直す」勧告に従うよう求めています。2018年4月にタイを公式訪問した国連のビジネスと人権ワーキング・グループも同じくタイ政府に対して「名誉棄損罪が企業によって労働者や市民団体、人権活動家委の人権と自由を弱体化させるツールとして使われることのないよう保障しなければならない」と求めています。

タイ政府がこれらの勧告をビジネスと人権に関する政府行動計画に反映させ、市民社会の意見を取り入れながら、政府行動計画を策定することを求めています。

共同レターの全文は下記リンクからご覧になれます(英文)

open letter to rtg re thammakaset cases (feb 2019)