ヒューマンライツ・ナウは、ミャンマーにおけるマイノリティに対する人権侵害に抗議するため国連人権理事会で発表する声明文を作成しました。
ミャンマーでは、国連や国際社会からの批判にも関わらず深刻な人権侵害が後を絶ちません。避難を余儀なくされた人たちのニーズに答えたり、ロヒンギャ難民の安全な地域への避難やミャンマー軍による人権侵害を止めるなど課題が山積みです。ヒューマンライツ・ナウはミャンマー政府に対して、国内避難民の保護と人権侵害を犯した人間への対応、ジャーナリストや人権活動家の表現の自由を守るなどを要求しています。
2017年8月から725,000人のロヒンギャの人々が隣国のバングラデシュに逃れました。ラカイン州ではミャンマー軍によって最初に1か月間だけで少なく見積もっても6,700人が殺害されました。Cox`s Bazarキャンプには900,000人を超える難民が避難していますが、資金が無く、キャンプ内の環境は健康被害などひどい状況が続いています。国連高等難民事務局もこの状況を懸念しており、強制送還が行われる現状を警告しています。
カチン、シャン、ラカイン、カイン州には244,000人を超える国内避難民が難民キャンプなどに取り残されています。その半数は子どもたちです。さらに696,000人の人たちが人道支援を必要としています。600,000人のロヒンギャの人たちがラカイン州に残っており、運動の制限や差別、暴力にさらされています。2019年1月には、新たに6,000人の人たちがミャンマー軍のアラカン軍に対する取り締まりのためラカイン州で避難民となりました。1月10日には、ミャンマー政府がこれら紛争地への人道支援をストップさせました。
カチン州では、168,000人が人道支援を必要としており、その中には97,000人の国内避難民が含まれています。また、シャン州北部でも48,000人が人道支援を必要としています。
ヒューマンライツ・ナウを含むメディアによると、2017年8月からロヒンギャに対する人権侵害は続いており、深刻な人権侵害にも関わらず、それらの行為で罰せられたのは、数人の一般兵士のみという報告もあります。このような状況で国際社会からはミャンマー政府に対する抗議が集まっています。
ミャンマーのジャーナリストや人権活動家はミャンマー軍の人権侵害に対して声明などを出していますが、そのために刑事罰を受けている状況です。
2018年12月7日、ナン・プーとザウ・ジェット、ラム・ザワンの3名はミャンマー軍への名誉棄損罪で6か月間の禁固刑を受けました。彼らはカチンでの紛争を止めることと2,000人のカチンの住民が安全に逃れられるよう声明を出したところ、当局によって拘束されました。また、2019年1月11日、ロイター記者のワ・ローンとキャウ・オーは7年間の禁固刑に対する上告を破棄されました。このようなジャーナリストや活動家の取り締まりは、逮捕を恐れ活動家やジャーナリストの活動を制限するものです。
ヒューマンライツ・ナウはミャンマー政府に対して次の要求をしています。1)国内避難民の人権を守る、2)すべての国内避難民へ人道支援を行う、3)ミャンマー軍の加害者を罰する、4)活動家やジャーナリストを釈放する。
声明の全文は下記のリンクからご覧になれます。(英文)
Myamar statement