ヒューマンライツ・ナウは2019年2月、3月に開かれる国連総会で発表する声明文を作成しました。
2011年3月に起きた福島第一原発事故は多くの避難民を生みました。8年が経とうとしている今でも50,000人の人が避難を余儀なくされています。政府の発表に含まれない人を含むとその数はさらに増えるとみられます。
2017年3月から徐々に避難区域が解除され、そこに住んでいた人たちへの住宅手当が終了しています。彼らは安全とは言えない場所に戻ることを強制されています。その数は32,000人にのぼります。
ヒューマンライツ・ナウは住宅手当の終了などで避難されている人たちの経済的、心理的負担が増えることを危惧しており、特に子どもや妊娠中の女性への影響を心配しています。
ここ数年日本政府は避難区域の解除を進めていますが、それらの場所の放射線量は年20 mSvと国際基準の1 mSvに比べて非常に高くなっています。
避難者の健康の問題も深刻です。
福島県が実施した甲状腺がんの検査によると1回目でその疑いが116名、2回目で71名と平均よりも高い結果でした。
また2018年12月には273名にも上りました。強いストレスも原因とみられ、2018年6月時点で101名の県民が自殺しています。
このような状況にも関わらず、日本政府は避難者に対し適切な医療支援を行わず、「健康的な生活」を営むという基本的人権を無視しています。
また、汚染除去作業にもさまざまな問題が出ています。ホームレスの人たちや外国人技能実習生などを彼らの同意なしに最低賃金以下で
危険な汚染除去作業に従事させています。政府は2020年の東京オリンピックまでに汚染除去作業を終わらせようと、これらの労働者の安全に配慮せず不当に働かせているのが現状です。
これら住宅手当の終了や適切な医療支援がないために多くの女性と子どもたちに深刻な影響が出ています。汚染除去作業に関する正しい説明も受けないまま、放射線量が今も高い場所に戻り、甲状腺がんなどのリスクにさらされています。
日本は国際社会からも福島に関する適切な取り組みを行うよう提言を受けていますが、今でもそれらが適切に行われていません。放射線量を減らすこと、住宅手当を続けることなどが提言されていますが、日本政府はそれらを「無視している」と強く非難されています。
ヒューマンライツ・ナウは日本政府に対して、1)福島の避難者に対して適切な住宅手当支援を続けること、2)条件なしの住宅手当を支給し、危険な地域に戻ることをやめさせること、3)健康モニターを実施し、避難者の健康管理を適切に行うこと、4)国際基準に合わせて避難地域の放射線量を年1 mSvまで下げること、5)オリンピックのために技能実習生や亡命希望者を汚染除去作業に不当に動員しないこと、などを求めています。
声明文の原文は下記のリンクからご覧になれます(英文)