【声明】パレスチナのICC加入を歓迎する ~パレスチナの重大な人権侵害に関する正義と説明責任への重要な一歩として

1.  2014年12月31日、パレスチナ自治政府は、国際刑事裁判所に関するローマ規程を、それ以外の15の国際条約等とともに署名した。2017年に独立国家となるとの決議が国連安保理で12月30日に否決された直後の行動である。2015年1月1日、国際刑事裁判所の担当部局は、パレスチナ自治政府による同裁判所加入を宣言する文書を受理した。1月7日、国連パンギムン事務総長は、パレスチナは、4月1日に国際刑事裁判所の締約国に正式になることを承認した。
 東京を本拠とする国際人権NGOであるヒューマンライツ・ナウは、パレスチナにおける重大な人権侵害に対する正義と説明責任の実現に向けた重要な一歩として、この動きを歓迎する。
2.  ローマ規程を批准したことに基づき、国際刑事裁判所は、パレスチナの占領地で行われた戦争犯罪・人道に対する罪について、管轄権を有することになる。裁判所登録によれば、管轄権は、2014年6月13日にさかのぼる。そのため、国際刑事裁判所検察官は、500人以上の子どもを含む2000人のパレスチナ人と、6名のイスラエル民間人の死者を出した2014年7月、8月のガザにおけるイスラエルとハマスの戦闘で行われた国際犯罪について捜査をすることができることとなる。パレスチナ占領地、そしてパレスチナをめぐる紛争においては、国際人権・人道法に対する重大な違反が数十年感絶え間なく繰り返されてきた。
 こうした違反行為に対する不処罰に終止符を打つことは、パレスチナ及び周辺地域に住む人々の人権を保障するために不可欠であり、また紛争の平和的解決に向けての本質的な前提条件である。
3 ヒューマンライツ・ナウは、パレスチナによるICC加入および正義と説明責任の追及のための努力に対するいかなる妨害・制裁にも抗議する。[1]イスラエル政府は、パレスチナの税収約1億2700万ドル(5億NIS)の送金を停止するという制裁措置を発動した。過去の合意により、イスラエルはパレスチナが課す関税を代行徴収し、毎月送金する義務を負っている。パレスチナの租税送金を凍結することにより、パレスチナの経済を混乱に陥れようとするイスラエルの意図は明確である。
 ヒューマンライツ・ナウは、パレスチナの国際刑事裁判所加入に関して、経済援助の中止・凍結を含むいかなる制裁や脅迫的対応もしないよう、各国政府に対し求める。
4   正義を追及し、不処罰を克服することは、占領地におけるすべての国際法違反に終止符を打つために最も重要な方策である。ヒューマンライツ・ナウは、国際刑事裁判所検察官に対し、2014年の紛争中の戦争犯罪・人道に対する罪に関するすべての訴え、および将来発生する同裁判所が管轄する国際犯罪に関するすべての訴えについても、包括的に捜査を行うよう要請する。
 ヒューマンライツ・ナウは、国際社会に対し、パレスチナ占領地における犯罪に対する正義と説明責任の実現に関する取り組みを支援するよう要請する。