HRNは、12月16日(土)に『#海外で働く #人を助ける仕事 をググったあなたに贈る2017年末スペシャルトークイベント「紛争地のお仕事」〜中東・アフリカの現場から帰国した3人が語る国際協力“ここだけの話”~』を開催しました。
第1部では、登壇者である守田氏・山村氏・高遠氏という、それぞれ異なる立場・国で活動する経験の共有がなされました守田氏からは、国連高等弁務官事務所(OHCHR)事務所の置かれているブルンジという国の紹介から始まり、ブルンジ国内の社会・政治情勢とそれに関連する国連安保理や国際刑事裁判所、アフリカ連合等の国際機関の動きについての解説がなされました。
いかにして旧宗主国の遺恨が旧植民地国に民族対立という紛争の種を残してしまったか、そして一度根付いてしまった対立や紛争を取り残すことの困難さに焦点が当てられました。それを解消すべくNGOや地域住民からの聞き取り調査や、弁護士への人権教育を施し、警察や当局に対して抜き打ち調査を行うなど地道な活動を続けているそうです。
日本ボランティアセンター(JVC)エルサレム事務所に駐在する山村氏からはイスラエル・パレスチナ問題の歴史的経緯についての解説の後に、パレスチナ住民の生活をとりわけ苦しめている「分離壁」「検問所(チェックポイント)」についての紹介がありました。この2つの障害のせいで、住民は移動の自由も含め、病院・学校・職場へ行きづらくなるなど不便極まりない生活を余儀なくされています。
圧倒的な力の差を以って、「紛争」よりはむしろ「占領」状態に陥っているパレスチナ地域において、外国人が支援を行う際にはそこに住む人々を対等に扱い、一人ひとりの人間として尊重する気持ちが重要であると締めくくりました。
高遠氏は、組織に所属しないフリーランスのエイド・ワーカーという身軽さを生かし、支援地域の現場で実際に出遭った方々が爆撃の際に非難する様子や、難民キャンプで生活する様子を参加者に熱心に伝えていました。
「隙間を埋めていくことが私の仕事」と言った高遠氏は国際機関やNGO/NPOの支援が漏れがちな「援助のスキマ」を見つけそこにも何らかの支援が行き届くよう「人と人とをつなげ、平和を実現する」ことを目標に日々奔走しているとのお話でした。
続く第2部はモデレーターとしてHRN事務局長の伊藤和子氏を迎えた質疑応答の場でした。様々な質問が投げかけられたものの、一貫して登壇者から伝えられたメッセージは”普通の人でもできることがある”という点でした。3人共、最初の職場は人道支援や紛争地域とは無縁な場所であり、そこから各々チャンスを掴んで今の職務に就かれているという点でした。参加者の中には20代以下の学生も多く、そうした年代に向けては「自分が何をしたいのか」を常に考え続く、行動を起こしていくことの重要さが強調されました。
イベント当日に参加者が記入したアンケートでは、「現地で働く人々の、普段は聞けない生の声を聞くことができて非常によかった」との意見が数多く見られました。本イベントを受けて、「今後は紛争地のことや、国際的な問題について勉強を継続したい」とのコメントも寄せられました。HRNは来年もこのように参加者の方に満足していただける会の開催を目指していきます。