(2009年12月22日)
2人の国連人権専門家は、中国本国での暴力的衝突から逃れてきた20名のウイグル人亡命希望者(難民申請者)をカンボジア政府が中国に強制送還したことに対して、懸念を表明した。
対象となった亡命希望者は、7月に中国の新疆ウイグル自治区の首府であるウルムチで発生し、政府の発表によれば150人以上の犠牲者を伴ったとされるウイグル人と漢族との衝突の後、ここ数カ月間で中国から逃亡してきている。
先月には、9人(そのうち大半がウイグル人)が、暴動に関与したとして処刑された。衝突後に身柄拘束されたと伝えられている他の多数の者の行方や状況に関しての懸念が残っている中で、今月初めにはさらに8人が死刑宣告を受けた。
拷問に関する国連特別報告者であるマンフレッド・ノーワック氏は、「7月の出来事、そして、最も基本的な公正な裁判の保障を侵害して行われた新疆ウイグル地区での最近の処刑に引き続き、私が受けとった過酷な拷問に関する報告を考慮すると、この強制送還は、国連拷問等禁止条約第3条に定められているノン・ルフールマン原則に基づくカンボジア政府の義務の明らかな違反である」と述べた。
ノーワック氏は、彼が以前、カンボジア政府に対し、緊急文書を通じて同政府の国際的な義務を念押ししたという事実があるため、現在の状況はより悪質なものであると述べた。
これらのウイグル人に対する国外退去命令は、彼らが難民申請の結果を知らされる前から出されていた。
「これはつまり、難民に関するジュネーブ条約に基づく彼らの難民としての地位と、国外追放者が拷問や別の方法による虐待、あるいは死刑の危険にさらされないかということの客観的な決定を、カンボジア当局がわざと避けたことを意味する。」とノーワック氏は強調した。
彼は、中国当局に対し、送還されたウイグル人20人を人道的に扱い、もし彼らが身柄拘束された場合には面会を認めるよう要請した。
マイノリティ(少数民族等)問題に関する国連独立専門家であるゲイ・マクドゥーガル氏は、中国政府に対し、7月の暴動に発展した緊張関係や不満について、できるだけ速やかに、包括的で中立的な評価を行うことを考慮するように強く迫った。
同氏は「今回起こった事件の分析として、この大惨事と(ウイグル人、漢族)両方が蒙った無惨な人命喪失の背景に横たわる、この地域における民族的緊張状態の核心に迫るような徹底した分析が行われなければならない。」と述べた。
同氏は、こうした評価作業は、両方のコミュニティーから事情聴取を行い、公平に行われなくてはならず、「和解に向けての積極的な一歩」となるかもしれないと語った。同氏は、7月の暴動の直後に同地域を訪問するための申し出をしているが、その許可は未だに下りていない。
同氏は、7月の衝突の原因について、開かれた透明性のある方法で究明されなければ、これらのコミュニティーはいっそう分断されてしまうだろう、と強調した。同氏は、「現在の状況下では、民族間の敵意がさらに増す可能性は否定できない。」と続けた。
彼女はまた、適正手続の権利の保障について懸念を表明した。「いくつかの裁判とその後の処刑が目に見えて迅速に処理されたことにより、あるコミュニティに対して衝撃的なサインを送ることになり、さらなる緊張を煽ることとなるかもしれない。」と述べた。
週末、国連難民高等弁務官(UNHCR)は、20人のウイグル人の難民事件が審査される前に行われた国外退去について、同弁務官がカンボジア政府に懸念を伝えた翌日に、亡命希望者の強制退去が土曜日に行われたと述べた。
同弁務官は「このような事件が繰り返される憂慮すべきパターンが、世界のあちこちでますますあからさまになっている」と強調した。
“Forcible return of Uighurs from
http://www.un.org/apps/news/story.asp?Cr1=&Cr=china&NewsID=33325