(2010年3月21日、ニューヨーク)
ネパールの国連人権高等弁務官事務所は、本日、カーストに基づく差別に関する事件について下された重要な判決を歓迎し、同国での差別に対する闘いにおける重要な一歩として認めた。
今月初め、ネパール西部のバイタディ地方裁判所は、2009年7月、「上位カーストの共同体のため」の儀式が(そうでない者によって)行われたという理由で結婚披露宴の最中に新郎の父親に物理的に暴行を加えた男性を、有罪とした。被告人には、懲役1年、罰金5,000ルピーの刑罰が下された。
1月の同じような事件で、同裁判所は、寺院での差別的な儀式に従わなかったことを理由に12人のダリット(いわゆる不可触民)を攻撃した事件につき、背後にいた主犯格の被告人に、懲役2年、罰金25,000ルピーの刑を言い渡す判決を下した。
ネパールの国連人権高等弁務官事務所(OHCHR‐Nepal)、国家ダリット委員会(National Dalit Commission、NDC)、国家人権委員会(National Human Rights Commission、NHRC)は共同声明を発表し、これらの判決は国際法に沿ったものであると述べた。
共同声明によれば、それらの判決は、「人種差別は処罰すべきであり、その被害者は賠償を請求することができる」とするネパールの暫定憲法14条にも合致している。
バイタディ裁判所は、世界人権宣言と人種差別撤廃条約に言及して、カースト優位の原理に基づいた差別は道徳的に受け入れられず、社会的に不公正で危険である、と強調した。
しかし、3機関は、昨年7月の新郎の父親への暴行で有罪とされた男が、その後、ネパール西部のカンチャンプルの公共事業計画省の公職に指名されていることに深い憂慮を示した。
本日の声明によれば 「NDC、NHRC、OHCHRは、当局がこの任命に関して、判決に忠実に従うこと、両刑罰を遅滞なく執行すること、カーストに基づく差別の問題に対する社会的な意識を高めるための具体的な方策をとることを強く求める。」
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http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=34142&Cr=nepal&Cr1=human+rights