(2010年3月4日 ニューヨーク)
国連人権高等弁務官は本日、イランにおける反体制派に対する暴力的な弾圧について、またスリランカで、ジャーナリスト、人権擁護活動家、他の政府批判者が不当な扱いを受け、平和への見通しが暗くなっていることについて、深い懸念を表明した。
人権高等弁務官ナヴィ・ピレイ氏は本日、ジュネーブで、47の理事国で構成される人権理事会において、年次報告を行い、「スリランカは、紛争中に全ての陣営が犯した重大な人権侵害について、不足なく制裁を課す取組みに取り掛かるべきであり、またこの点については国際社会が支援できるものと確信している。」と述べた。
昨年5月、スリランカ政府軍はタミール・イーラム解放の虎(LTTE)を倒し、20年以上続いた内戦に終止符を打った。国連高官はマヒンダ・ラージャパクサ大統領に対し、昨年の国連との共同声明で、「国際人道法に反するすべての犯罪と人権侵害について、全面的な責任を果たすことを確実にする」とした約束を守るよう強く要求した。
イランについて、ピレイ氏は、デモ参加者、人権活動家、ジャーナリスト、著名政治家の恣意的逮捕など、同国の人権状況が「悪化」していることについて、深い懸念を示した。
「多くの人が、選挙後の抗議運動での役割について、疑問の残る裁判の結果、死刑を含む過酷な判決を受けている。」と同氏は述べ、すでにイラン当局者とこれらの問題について議論し、イラン当局に人権高等弁務官事務所職員のイラン訪問を許可するよう提言したと伝えた。
アフリカについては、2009年を通じてスーダンの代表に会い、同国における死刑判決と執行に関し懸念を表明してきた。
スーダンのダルフール地方ジェベル・マラにおける反乱軍と政府軍の戦いに関し直近の報告を受け、ピレイ氏はすべての陣営に対し、「一般市民(文民)の保護を最優先とする」よう強く求め、武装勢力に対し、「平和への対話に入り、生命に対する権利を尊重するように」に促した。
ギニアについては、9月28日治安部隊が非武装のデモ参加者を鎮圧し、少なくとも150人が殺され、多数がレイプされた事件の調査において、国連、アフリカ連合、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が「素晴らしい協力」を示したと賞賛した。
同調査委員会の結論として出された勧告の1つに従い、人権高等弁務官事務所はギニアに事務所を設立する可能性がある。
多方面にわたる報告の中で、ピレイ氏は今週初めエジプト政府に対し、治安部隊がシナイ砂漠を通ってイスラエルに入ろうとする移民者に対する「致死的兵器」の使用を停止するよう直ちに命令することを求める要求を繰り返した。報告の中では、過去2年半の間に、60人程度が射殺されていることも述べられた。
ヨーロッパについては、人権高等弁務官事務所の優先課題として、スロバキア及びチェコ共和国などで、悪化する条件の下で暮らしているとされる、ロマ人などの移住者、少数派に対する差別と闘っていくことを伝えた。
ピレイ氏は、来週のイタリア訪問の機に、イタリア当局に対し、ロマ人や他の移住者に対する差別や攻撃の問題について取り上げる予定であると述べた。
同氏は5月にロシアを訪問する予定であるが、同国では、人権活動家に対する攻撃がきわめて頻繁に不処罰のままにされていると述べた。
さらに、ピレイ氏は、モンゴルのツァヒャー・エルベグドルジ大統領が死刑執行の公式な一時停止を発表したことについて賞賛した。また、アジア太平洋地域は、世界の他の地域全体の合計より、死刑執行数が多いが、同地域のいくつかの理事国がこの問題に取り組んでいることを、ピレイ氏は強調した。
“UN human rights chief voices concern about abuses in
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=33967&Cr=pillay&Cr1=#