(2009年3月5日)
アフガニスタンにおける人権状況の悪化は、民間人の死傷者数の増加・女性差別・激化する表現の自由に対する攻撃、および不処罰の慣行等に顕著に現れていると、国連の新しい報告書は伝えている。
本日ナヴィ・ピレイからジュネーブに設置された人権理事会に提出された、国連の人権高等弁務官のアフガニスタンに関する年次報告書によると、“アフガニスタン国民は重大な権利侵害に苦しめられており、そのため人権を享受することや、国家として和平・安定・民主化・開発および法の支配について長期的な見通しをたてることが、極めて困難な課題となっている。“
“重大な人権侵害が、アフガニスタン社会を変革しようと続けられている努力に対する、深刻な脅威となっている。“と報告書は述べている。また、“不処罰の慣行は広く、深く根付いている。過去の人権侵害事件に対するトランジショナル・ジャスティス(移行期における司法的正義)の手続を進めようという政治的意思が欠落していることからも、現在発生している人権侵害に対する責任の所在が不明なことからも、明らかである。“。
“司法システムが脆く腐敗し、機能不全に陥っていること、あるべき適正手続の要求に合致しない伝統的な紛争解決方法に頼ってしまうことが一般化しており、ほとんどのアフガニスタン人は事実上、正義を享受していない。“と、報告書は続けている。
高等弁務官は、政府と国際社会に対し、“不処罰の慣行“という,アフガニスタンの法執行と司法制度の正当性を損なうだけでなく、政府と公共機関に対する人々の信頼も損なう問題に対し、効果的に取組むことを強く求めている。
民間人の死傷者数の増加について、高等弁務官は、反政府武装組織と親政府武装組織に対し、女性と子供を含む民間人の保護へのより一層の配慮を確実にするよう、強く求めている。
次に、女性に関する人権状況については、レイプや名誉殺人、若年者への強制的な結婚、性的虐待、人身売買等の女性に対する暴力が広く残っていることが述べられている。
“暴力は、家庭やコミュニティ、あるいは伝統的な宗教指導者集団、公式・非公式の司法制度の中で、許容または黙認されている (この点では、アフガニスタン政府は、憲法上の保障にもかかわらず、女性の人権を適切に守ることに失敗している)。“とピレイ氏は述べる。
彼女は、同様に、公的な活動に従事する女性や、職に就いている女性に対する脅迫や脅し行為の激的な増加についても述べている。政府機関や国内・国際組織で働く女性、ジャーナリスト、警察官や法律家は皆、殺害を脅す手紙や電話を受けていると伝えられている。
報告書は、女性と女児が公私いずれの場面においても保護されることと、そして、それが政策と具体的な計画に取り入れられることを求めている。
報告書は、ジャーナリストらの殺害も含む市民社会やメディアに向けられた脅しや脅迫など、2008年を通じて、表現の自由は重大な脅迫にさらされてきたと記している。
“2009年の選挙までの数ヶ月、メディアは自主規制を続けるか、特定の政治関心と候補者にとって好都合な見解のみを報道するよう圧力を受け続け、市民は、脅迫と攻撃によって、意見を十分に表現できないよう脅され続けるであろう。“とピレイ氏は述べている
その他の懸念事項としては、事実上の猶予期間である3年間を2007年10月に終え2008年に至ってもなお、政府が死刑制度を継続していることが挙げられる。高等弁務官は、政府に対し、司法と法執行制度の脆弱性の観点、および高まる国際世論との調和の点から、死刑制度の継続政策を再考するよう求めている。
NEW UN REPORT HIGHLIGHTS WORSENING HUMAN RIGHTS SITUATION IN
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=30093&Cr=afghan&Cr1