【イベント報告】9/2開催ウェビナー「新疆ウイグル自治区の強制労働と日本企業の関与について」※YouTube配信中!!

 

2020年9月2日(水)、ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)は、新疆ウイグル自治区で今起きている大規模な強制収容・強制労働の現状を知り、企業、投資家、そして市民一人ひとりに求められる行動を議論するウェビナーを開催いたしました。イベントの様子をお伝えいたしますので、ぜひ、最後までご覧ください。

この問題は非常に深刻なもので、ぜひ一人でも多くの方に知っていただきたいので、ウェビナーの様子をYoutubeで一般公開いたします。ウェビナーへの参加がかなわなかった皆様も、ぜひ動画でご覧いただけますと幸いです。また、ぜひこの動画を周りの方々にも共有してくださいますよう、お願い申し上げます。
当日の動画はこちらから: https://youtu.be/bw-XBJWzqA0

ウェビナーでは、はじめに日本ウイグル協会副会長のレテプ・アフメットさんが登壇され、ウイグル強制収容所の実態と強制労働の現状について紹介していただきました。職業技能訓練センターという名で存在する強制収容所では、“強制的な”、隔離、アイデンティティ教育、臓器売買、避妊器具手術や不妊手術、労働などの人権侵害行為が行われています。また世界的に有名な日本企業(ソニー、パナソニック、任天堂、ユニクロ、無印良品、など)も数多くこの問題にかかわっており、中国本土にあるサプライチェーンでのウイグル人の強制労働が疑われています。

 

 

次に、東大大学院教授、阿古智子先生に新疆ウイグル自治区の中国における位置付けについてお話しいただきました。中国には8.4%、約1億1000万人(2010年の国勢調査より)少数民族がおり、民族区域における高度な自治制度が憲法で保証されていました。しかし、最近ではバイリンガル教育から漢語中心に変わり、宗教活動も管理されるなど、少数民族の文化を抑圧する政策が続いている状況です。

続いて、HRNで活動する佐藤暁子事務局次長と伊藤和子事務局長は多国籍企業が国際人権上どのように行動するべきなのかを訴えました。強制労働というのは、重大な国際人権法違反です。現在、多国籍企業など国を越えて大きな影響力を持っている企業は、自社内のみならず、サプライチェーン全体での人権リスクを対象とした、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」にしたがった人権デューリスクマネジメントが求められています。

 

 

そして、PRI(国連責任投資原則)でActing Head of Social Issuesとして活動していらっしゃるElena Espinozaさんに、企業の社会的責任はもちろん投資家としての行動の重要性について指摘していただきました。国や地域を越えたより高い人権の国際基準を満たすことが企業に求められ、また投資家自身も投資先の人権マネジメントの把握や、人権侵害が起きた場合の救済処置を投資先に呼びかけ、場合によっては投資家自身も救済措置を実行する責任があります。

国際NGOであるWorker Rights Consortiumで活動中のPenelope Kyritsisさんにもご参加いただき、Call to Actionの活動と、日本企業の関与について説明していただきました。Call to Actionの活動としては、企業がウイグル地区で作られた商品や原材料を買わないことや強制労働の関与が疑われる会社との取引をやめるように要求しています。また、新疆ウイグル自治区では政府の監視がとても厳しく、労働者の状況を把握するのが難しいため、この地区のみ、例外的に企業へ撤退するよう要求しています。

ジャーナリストであり、またNPO法人8bitNews代表の堀潤さんに影響力の強いメディアの役割と、消費者にできることについてお話しいただきました。メディアを運営するにあたり企業がたくさんの広告費を出しているわけですから、企業自体もクリーンでなければなりません。しかし、企業の中には広告などによってクリーンなイメージを作りつつ、非人道的な行為を放任しているものあります。そのため、堀さんからの提言として、ESG(環境、社会、企業)指数を用いたインセンティブを導入したり、基準に値しない企業の広告への規制を設けたりするアプローチについても言及していただきました。そのために私たち消費者一人ひとりの後押し、声が重要になってきます。

最後にHRNの伊藤事務局長から閉会のあいさつとして、HRNとしてのこれからの継続的な取り組み、また消費者としてできることについて呼びかけました。国際的なネットワークを生かして、ファーストリテイリングや無印良品などへの呼びかけを進め、隣国である中国での人権侵害への関心を高めるための行動を取っていきたいと思います。
さらに個人の活動として、一人一人がこの製品は大丈夫なのかという呼びかけを共に行っていきたいと思います。