イベントアーカイブ 【イベント報告】「ユースと考える、刑法性犯罪規定改正のその後と性的同意」

2025年9月5日(金)、ヒューマンライツ・ナウはオンラインにて「ユースと考える、刑法性犯罪規定改正のその後と性的同意」を開催しました。2023年7月の刑法改正から2年を迎えるにあたり、改正の社会的意義や課題を振り返りつつ、ユース世代とともに「同意とは何か」を深く考える場となりました。

【プログラム概要】
・基調講演
ヒューマンライツ・ナウ副理事長で弁護士の伊藤和子氏より、刑法改正のポイントと改正後の社会的課題、さらにユースへの期待についてご講演をいただきました。

・ユースディスカッション
ユース参加者はブレイクアウトルームに分かれ、以下のテーマについて意見交換を行いました。一般参加者は並行して伊藤氏とのQ&Aに参加しました。

・全体共有
ユースからのディスカッション結果を全体で発表し、参加者全体で学びを共有しました。

【ユースディスカッションの内容】
1. 恋愛・デートの場面で考える・・・性的同意をどのようにとる?自分が行為をしたくないときにどう断る?

・言葉で同意を確認することの重要性(例:チャットや同意確認ツールの活用)

・「断る=相手が嫌い」ではないと伝える工夫

・嫌われることを恐れて断れない状況があるという課題意識

2. SNSでのやりとりと撮影罪・要求罪・・・パートナーから性的な写真や動画を撮ってよいか聞かれたとき、どう対応する?また、自分で撮って送ってほしいと言われたときは?

・性的画像の撮影・要求は「犯罪」であると明確に伝える必要性

・他国の事例や有名人の逮捕例を挙げ、認識を広める工夫

・誤った関係を防ぎ、対等な関係を守るために「犯罪性」を強調する重要性

3. 法律は変わったが、なぜ性犯罪被害者は依然として声をあげにくいのか?

・社会的要因:恥ずかしさや偏見、被害者非難

・構造的要因:相談先不足、証拠や手続き上の負担

・心理的要因:自責感やトラウマによる負担

・追加意見として、警察のセカンドレイプへの懸念、立証責任やプライバシー公開の負担、ネット上の被害者非難文化、示談への誘導なども指摘された

4. ユース世代ができることは?

・性的同意についてオープンに話す機会をつくり、性教育に動画などを取り入れる

・「同意を確認する習慣」を広げる、同意確認のツールやフレーズを周囲に勧める

・ネットでの団結や #MeToo のような運動の可視化

・服装や見た目にかかわらず、被害者に責任はないことを広める

・大学キャンパスでの活動の提案

※ディスカッション中には、学校・部活・アルバイトにおける権力関係下での性暴力や、酩酊状態における性暴力の危険性についても短い解説を行い、理解を深めました。

今回のイベントは、ユース世代自身が「同意」について考え、意見を交わす貴重な機会となりました。参加者からは、「同意の確認方法をもっとオープンに話したい」「被害者を責める文化を変えていきたい」などの声が寄せられました。今後もヒューマンライツ・ナウは、ユース世代とともに性的同意文化を社会に根づかせる活動を続けていきます。