2015年が終わりに近づいてきた12月21日、HRNは日頃の感謝の気持ちを込めて「エンド・オブ・ザ・イヤー・チャリティ・パーティー」を開催しました。
以下、イベントに参加したインターンの報告をご紹介します。
2015 年最後のイベントとなったチャリティ・パーティーは、東京駅の夜景がきれいに見渡せるホワイト& ケース法律事務所の一室で開催されました。会場には 「8bitNews」代表の堀潤氏も駆けつけ、ご自身が審査員を務めた「世界子どもの日映像スピーチコンテスト」の様子を紹介。コンテストを通して、社会の動きを捉えている若い世代と大人とが協力し社会に発信していくという形が生まれたと、コンテストの意義を評価して下さいました。
また、パーティーでは、HRN メンバーお手製の料理が振る舞われ、美味しいご飯を食べながら、皆様暫しの歓談の時間を楽しんでいただきました。
パリ・シリアそして日本―世界で今起きていることと私たち
歓談の後、石合力氏(朝日新聞国際報道部長)と志葉玲氏(フリージャーナリスト)、伊藤HRN 事務局長をスピーカーに、 「パリ・シリアそして日本 世界で今起きていることと私たち」というテーマでトークセッションが行われました。口火を切った石合氏は混迷を極めるシリア情勢について「蛇口の水を出しっぱなしのままで溢れた水をどうするかを国際社会が話し合っている状態だ」と表現しました。現在、ロシアやフランスを含む多くの国が「イスラム国(IS)」との戦闘に参加し、一致団結しているように見えていますが、石合氏は「各国はこの状況を利用して互いに自国の都合の良いことしかやっていない」と厳しく評価。志葉氏は「大国は自分たちの都合の良い相手に武器などを渡し、かえって状況をややこしくする」「誰もシリア人のことを考えていない」と語気を強めました。その上で、難民を受け入れている欧州をはじめ国際社会が、シリア人のためにあらゆる手段を尽くして戦争を終わらせるために行動すべきではないのか、指摘されました。
話題はパリで起きたテロ事件に移り、IS との対テロ戦争が行われる中で、伊藤事務局長は率直に「今、私たちに何が問われているのか」と疑問を投げかけました。その疑問に石合氏は「難民の多くはアサド政権によって生み出されたもので、IS を叩けば世の中が良くなるという論調は大きな間違い」と言い切り、問題解決には「アサドでもなくISでもない新しいものを作らなければいけない」と述べました。一方、志葉氏は対テロ戦争以降かえって世界は不安定化している、と指摘した上で「テロに対する憤りにメディアがどう対抗していくかが問われている」と別の切り口を提示しました。最後に石合氏と志葉氏は中東問題に関するメディアの重要性を指摘し、志葉氏は「日本メディアが自主規制してしまう背景には世論の声がある。メディアを批判することも必要だが、良い記事や報道があったらメディアを誉めてあげてほしい」と話し、メディアから情報を得ていくためには、私たち自身が関心を持ち、行動を起こす必要があると訴えました。
鈴木重子氏による詩の朗読
トークセッションの後には、鈴木重子氏(ヴォーカリスト)が、安田菜津紀氏や志葉玲氏が世界各地で撮影された写真を背景に、ティク・ナット・ハン氏の詩「本当の名前で呼んでください」を朗読されました。この詩は「わたしという存在は他の全てのものと分かち難く繋がっていること」を表現していると言われています。世界各地で起きている紛争や、厳しい環境の中でも笑顔を絶やさない子どもたちの写真を見ながら、会場全体が鈴木氏の声に耳を傾け、一人ひとりが「自分には何ができるのだろう」と心の中で問いかけているようでした。最後に鈴木氏は、この詩に込められたメッセージのように、「私たちは他の全てのものの立場に立ってものを見ていく必要がある」と伝えました。
パーティーではチャリティ・ラッフルも行われ、カラフルなラッシュのギフトセットや、ホテル宿泊券など豪華な賞品に参加者の皆様も喜んで頂けたと思います。
HRN は、イベントや活動に参加し、ご協力して下さる市民社会、企業、NGO、ジャーナリスト、専門家の皆様など本当に多くの方々のご支援に支えられて活動をしております。改めて皆様のご支援・ご協力に御礼申し上げます。また、パーティーを通して、HRN の活動を通して築かれた人と人との繋がりの強さというものを改めて感じました。HRN は、2016 年もその繋がりを最大限に活かして、世界の人権問題に取り組み、社会に発信していきたいと思います。(高木あずさ)
パーティーの収益はすべてHRN の活動費に充てられます。ご支援ありがとうございました。