Our Achievement
私たちはこのように世界を変えてきました。
事実調査
ユニクロ過酷労働
人気ブランド「ユニクロ」の下請け工場では何が起きているのか。ヒューマンライツ・ナウは、香港のパートナーNGOとの共同プロジェクトで、2014年、中国下請け工場への潜入調査に乗り出し、過酷労働の実態をまとめた調査報告書を2015年1月に世界に向けて公表。キャンペーンを展開して大きな注目を集めました。ユニクロの親会社ファーストリテイリングはいくつかの事実関係を認め、改善のためのアクションプランを公表。ヒューマンライツ・ナウでは改善に向けた話し合いを進めてきました。
児童労働
インド北東部のメガラヤ州では、推計7万人と言われる子どもたちが、危険な炭鉱での児童労働に従事させられ、奴隷のような環境で働かされたあげく命を落としていました。子どもたちの多くはバングラデシュやネパールから人身売買で連れてこられた子どもたちでした。ヒューマンライツ・ナウは、ローカル・パートナーとともに2009年に事実調査を実施、デリーで開催した記者会見の結果、インド国内や国連からも注目を集め、事態の改善が動き出しました。2014年、インドに新設された「緑の裁判所」の決定で、有害なメガラヤ州の炭鉱は閉鎖となり、この最悪の形態の児童労働は根絶されました。
人権活動家への攻撃
「2000年以降700人以上の人権活動家が暗殺されている」現地NGOのSOSを受けて、ヒューマンライツ・ナウは2007年に現地を調査。人権活動家の殺害に軍や警察が関与している疑いが強いことを確認。現地で記者会見を開催し、フィリピン政府に殺害をやめさせ、責任者を処罰するよう呼びかけ、大きな反響を呼びました。国連、フィリピン政府、最大援助国である日本政府にも働きかけを行い、国際的関心が高まる中、2008年以降は殺害が劇的に減少、2014年には殺害を指揮した元軍司令官がついに逮捕されました。
このほか、インド(児童労働、女性に対する暴力)、パレスチナ(紛争下の人権)、ミャンマー・タイ国境(ミャンマー少数民族への人権侵害、難民の人権状況)、イラク(紛争後の子どもの人権)、カンボジア(土地の強制立ち退き・女性に対する暴力)、ベトナム(女性に対する暴力)、日本(東日本大震災・原発事故)などの現地調査結果を報告書として公表し、変化をもたらしています。
アドボカシー
ミャンマー(ビルマ)で
ヒューマンライツ・ナウは2007年以降、軍事独裁政権下で人々が深刻な人権侵害を受けているミャンマーの人権状況の改善のために、現地の人々と連携し、日本政府、欧米諸国や国連人権高等弁務官事務所等に働きかけを行い、国連の決議採択のプロセスに関わるなど、現在の民主化に至るプロセスの実現に貢献してきました。また、軍政から女性たちが過酷な人権侵害を受けている実情を明らかにするため、東京とニューヨークで連続開催した「ビルマ女性国際法廷」の開催を全面的にサポートし、軍事政権による女性に対する暴力が極めて深刻であることを世界にアピールし、注目されました。
カンボジアで ポルポト裁判に被害者の視点を導入
カンボジアで1970年代後半に政権を取ったクメール・ルージュは多くの市民・知識層を虐殺、拷問するなど、重大な人権侵害を行いました。こうした人権侵害を裁くカンボジア特別法廷が2006年にはじまったのを受け、ヒューマンライツ・ナウはこれがカンボジア社会の平和構築につながるよう、被害者の視点から支援をしてきました。
ヒューマンライツ・ナウでは、国際人権基準、カンボジア法を根拠に、特別法廷への被害者参加を求める提言書「被害者に正義を」を発表、カンボジアに赴くなどしてアドボカシーを展開した結果、被害者参加の仕組みが実現しました。現在では法廷に多くの被害者が当事者として参加、コミュニティでも人々が人権侵害に過去について沈黙を破り、語り始めています。
パレスチナで
2008年12月から2009年1月にかけてのイスラエルによるガザ侵攻。1400人もの命が奪われ、その多くが女性や子どもなど、罪のない市民でした。ヒューマンライツ・ナウは、戦争犯罪の疑いがあるとして、独立した国連の調査団の派遣を要求、国連人権理事会の決議で設置された独立調査団は侵攻の過程での戦争犯罪を認定、国連が責任追及のために動くよう求める勧告を出しました。ヒューマンライツ・ナウは、この調査と勧告を支持する国連人権理事会、国連総会決議を採択するよう求めるキャンペーン、ロビー活動を世界のNGOと連携して展開、国連人権理事会決議・総会決議の採択に至りました。
エンパワーメント支援
ヒューマンライツ・ナウは、ミャンマー(ビルマ)の民主化を草の根レベルで支援するため、タイ・ビルマ国境付近のメイソットに設立された法律学校「ピースローアカデミー」を2007年から支援。2009年には資金難でいったん閉鎖されたこの学校を再開させ、国際的に確立された人権基準や諸外国における人権保障の制度、法律を教える活動を現地NGOとともに展開、未来を担うミャンマーの若者のエンパワーを支援してきました。ヒューマンライツ・ナウが活動を開始した当時、ミャンマーでは、人権や自由を求める活動が抑圧されているどころか、「人権」という言葉さえ使えず、民主化の希望さえ全くありませんでした。
2007年以降、ピースローアカデミーは、少数民族、女性を含めた80人余の卒業生を三期輩出、彼らは次世代の民主化を担うリーダーとして成長しました。民主化が進みつつある今、卒業生の多くは帰国し、人権・民主化の最前線で活動しています。
2014年以降、ヒューマンライツ・ナウは、ミャンマー国内での人権教育活動を開始、ヤンゴン弁護士会と連携し、国際人権法や人権活動の進め方などに関するセミナーを弁護士や市民対象に連続開催。日本から年間10名ほどの講師を派遣して教育を進めています。
ヒューマンライツ・ナウでは、このほか、東北アジア地域の人権NGOのトレーニングや、中国の人権活動家、実務家に対する人権トレーニングなどを実施してきました。