ヒューマンライツ・ナウ ニューヨーク事務所からのニュースレター2019年8月号です。
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August, 2019
8月も半ば過ぎましたが、いかがお過ごしですか?秋晴れを思わせる日が続いたと思ったら、猛暑が舞いもどってきたNY市。空いっぱいの入道雲が夏を色濃くしています。
今年の8月で広島・長崎の原爆祈念日ならびに終戦記念日は74周年目を迎えました。
戦争は悲しみや苦しみしか生み出しません。ヒューマンライツ・ナウも頻繁に足を運ぶNY市の国連本部では、年間を通して軍縮、紛争、人権問題などをテーマに討論や決断が繰り返されます。その国連が74年前に設立された経緯も、第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の反省からきています。
巨額の軍事費を使って膨大な数の死傷者を出すだけの戦争。そこには未来も希望もありません。そして、軍縮に背を向け、同じ過ちを繰り返そうとする国連加盟国が多々ある中で、戦争や核兵器に反対の姿勢を示し続けることが世界レベルで強く問われています。
公園などの公共の場で、アンケート用紙への回答記入をお願いするだけの簡単な作業です。誰にでも英語で気軽に話しかけられ、Labor Day以降の空いた時間 (週日・週末問いません)に数回できる方がいらっしゃいましたら、下記までメールください。お待ちしています!
国連の活動の3本柱を共に考える:人権擁護はいかに
平和・安全の維持や持続可能な開発を助けるか?
Thinking the three UN pillars together: How protecting human rights helps maintaining peace and security and paves the ground for sustainable development?
ハイレベル政治フォーラム サイド・イベント
去る7月18日、国連本部で開催中のハイレベル政治フォーラムのサイド・イベントとして、表題のパネル・セッションが行われました。パネリストとして参加したのは、国連人権担当事務次長補であり人権高等弁務官NY事務所チーフのアンドリュー・ギルモア氏、チュニジアの国連常駐調整官であるディエゴ・ソリーヤ氏、経済・社会権利センターで経済・社会ポリシーにおける人権プログラムのディレクターを務めるケイト・ドナルド氏の3名です。出席者には、国連外交官や市民団体の代表者らが多く見られました。
「人権の尊重、持続可能な開発、そして恒久の 平和は密接に関連しています。人権と人権侵害のアカウンタビリティを語らずには、平和と安全を語ることはできません。そして、暴力紛争下や人権侵害が起こる不安定な状況の下では、持続可能な発展を期待することもできません。逆に言えば、持続可能な開発アジェンダ(SDGアジェンダ)の実現は、人権の実現に大きく貢献することができるでしょう。」
上記は、本イベントのコンセプト・ノートに書かれていた見出しです。これまでも幾度となく様々な会合やイベントなどで繰り返されてきた内容ですが、ハイレベル政治フォーラムという機会に合わせて開かれた今回のイベントでは、安保理内での人権への理解の欠如に焦点が絞られました。
「安保理加盟国は世界人権宣言を読み直すべき」、「安保理でもっと人権要素を取り上げられる必要がある」、「国連システム内に人権がさらに統合されなくてはならない」といった要望が各スピーカーから発せられました。
人権を踏みにじまれても手も足も出せない…声もあげられない…。人権擁護を続けないと、あっという間にそんな世の中になってしまいます。本イベントでハイライトされた「人権は守るべき大事なもの」という基本的かつ重要なメッセージは、国連などに限らず、私たちの毎日の生活の中でも常に認識し合う必要があるのではないでしょうか。
ジェンダーに敏感な環境アクション・ナウ
Commit to Gender-Responsive Climate Action Now
-ハイレベル政治フォーラム サイド・イベント-
地球温暖化による気候変動の波は、予想以上の速さで世界中に影響を及ぼしています。食糧、水、エネルギー、日々の暮らしに与える気候変動のインパクトは、女性の教育、経済的自立、安全や健康などに対する権利にもマイナス影響を及ぼすといわれています。同時に、これまで気候変動による災害などに敏感に反応し、環境保護や再生可能エネルギーや天然資源など解決への道の先頭に立ってきたのも女性です。
UN WomenとFor All Coalition in Gender Equality and Human Rightsの共催で、国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) 司会によるこのイベントは、来る9月に開催予定の2019年国連事務総長気候アクション・サミット (Climate Action Summit) の準備に向けて、ジェンダー平等と女性のエンパワメントをさらに呼びかけるのが目的でした。また、サミットでジェンダーに敏感なイニシアチブが披露されるよう、国際リーダーたちに呼びかけられました。
その他にも、世界中のコミュニティ・レベルで気候変動に対するアクションを起こしている若い女性活動家やステークホルダーから、直面する困難や課題など現場の声を聞くことができました。
自分たちのコミュニティや自分たちの未来は、自分たちが守る。そんな真っ直ぐで固い決心が感じられる彼女たちのストーリーが聴きたい方は、こちらから収録動画がご覧になれます。
安保理議長国ポーランドと市民団体の会合
Briefing on Poland’s Presidency of the UN Security Council-A Civil Society Dialogue
今回の会合では、8月の議長国であるポーランドのロネッカ氏から、8月の予定表に沿って簡単な説明がありました。そして、ポーランドの三大モットーは「団結」(Solidarity)、「献身」(Commitment)、「責任」(Responsibility) であることが強調されました。武力紛争における市民の保護において、ポーランドのリーダーシップはこれまでも注目されてきました。罪もない市民を紛争や非人道的兵器などから守るための決議などがもっと採択されるよう、今後もそのリーダーシップに期待したいところです。
~第10条~
すべての人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当たって、独立の公平な裁判所による公平な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。
今月もご拝読ありがとうございました。
これからもヒューマンライツ・ナウNYをよろしくお願いします。
hrnnyinfo@gmail.com