【世界の人権・スリランカ】 2011/04/25 専門家委員会がスリランカ紛争中の戦争犯罪に関する報告について信憑性を認める、と国連

2011425日) 国連が本日公表した報告書によれば、専門家委員会は、スリランカ政府とタミール人武装組織の双方が戦争犯罪を犯したとする報告に信憑性を認め、嫌疑について真の捜査が行われることを求めた。同委員会はスリランカ紛争終盤に起こった問題の責任追及に関して、潘基文国連事務総長に助言を行うために設立されたものである。

 

 412に事務総長に提出され、スリランカ政府にも提供されたこの国連報告書を公表するという決定は、「透明性という視点と、より広範な公共の利益のためだ」と、潘事務総長の広報官は声明において発表した。

 

 この声明ではさらに、「この諮問的報告書が完全な責任の明確化と正義に寄与し、それによりスリランカ政府と同国国民が国民和解と平和への道を前進することが可能になることを、事務総長は真摯に希望している」と付け加えられた。

 

 潘事務総長は、同報告書の結論と勧告をよく検討しているという。この結論や勧告には「タミールイーラム解放の虎LTTEとスリランカ政府の双方による数々の国際人道法や人権法の重大な違反の嫌疑に信憑性があり、中には戦争犯罪や人道に対する罪に相当するものもあるという憂慮すべき所見が含まれている。」

 

 30年近くもの間、度々戦火を交え、何千もの人々を犠牲にした紛争の末、20095月、政府軍は、反政府派LTTEへの勝利を宣言した。この紛争は、この島国の北部を中心に、多くのスリランカ人の国内避難民を発生させて終結した。

 

 同専門家委員会は、政府が紛争終盤に犯した、広範囲に及ぶ爆撃による民間人の殺害や人道的支援の拒否を含む5の主要なカテゴリーから成る、深刻な違反の嫌疑に信憑性があることを認めた。

 

 またLTTEに関する信憑性のある嫌疑には、民間人を人間の盾として利用したことや、LTTE支配地域から避難しようとした民間人の殺害なども含め、6つの主要なカテゴリーから成る深刻な違反が行われた嫌疑がある。

 

 同専門家委員会による第一の勧告は、スリランカ政府が真の捜査に着手することにより、効果的な責任追及のプロセスを主導し、上述した深刻な人道法・人権法違反の嫌疑に対応していくことである。

 

 「潘事務総長は、スリランカ政府がまずなによりも、侵害行為の嫌疑に対する説明責任を確実に果たすという責任を引き受けるべきであるとの見解を、一貫して支持してきた」と声明は伝えている。さらに同政府が同専門家委員会による勧告に対し、建設的な対応をとることを事務総長が呼びかけていると述べた。

 

 潘事務総長は、スリランカ紛争中(とりわけ終盤)及び紛争終結後における、人道及び保護についての任務の実施に関する国連の行動の再検討を求める専門家委員会の勧告にも、前向きに対応していくことを決めた。そのような再検討を行う方法は、関連する国連諸機関、基金、計画との協議の後に決定される。

 

 また声明は、「国際的調査メカニズムを立ち上げるという勧告について、事務総長は、当該国の同意か適切な政府間フォーラムを通じた加盟国による決定が必要とされるとの助言を受けている」と付け加えた。

 

 3人の委員から構成される専門家委員会は、紛争終結後まもなく、潘事務総長がスリランカを訪問した後、同事務総長とスリランカのマヒンダ・ラージャパクサ大統領による共同声明を受けて設立された。

 

 メンバーは、インドネシアのマルズキ・ダルスマン委員長、南アフリカのヤスミン・スーカ氏、アメリカ合衆国のスティーブン・ラトナー氏で20109月から活動を開始している。

 

“Panel of experts finds credible reports of war crimes during Sri Lanka conflict – UN”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=38187&Cr=Sri+Lanka&Cr1=