【世界の人権・ミャンマー(*)】 2010/3/26 国連機関がミャンマーにおける人権侵害を批判

(*)HRNでは基本的には「ビルマ」の呼称を使用しつつ、国連ニュースや国連関係文書の翻訳・紹介の際には、原文の用法に従い「ミャンマー」と表記しています

 

 (ニューヨーク 2010326)

 国連人権理事会は、本日、ミャンマー国民の基本的自由の侵害に反対する意思を表明して、同国政府に対し、本年後半に予定される(ここ20年で初めての)選挙が自由で透明なものとなるよう求めた。

 

 第13回通常会合の最終日に、47か国の理事国からなる同理事会は、今月初めに発表された選挙に関する法律が国際社会の期待に応えていないという懸念を表明する決議を採択した。

 

 報道によれば、それらの法律は政党の登録に関係するもので、有罪判決を受けた者はすべて、公式の政党の構成員となることを禁じられている。

 

 理事会は本日、ミャンマー当局に、政治的な動機による逮捕をこれ以上実行することをやめ、アウン・サン・スー・チー氏を含む、2,000人以上と言われる良心の囚人をすべて釈放するよう強く要求した。

 

 スー・チー氏は、民主化運動指導者でノーベル平和賞受賞者であるが、昨年8月、さらなる18ヶ月間の自宅軟禁を言い渡されおり、実質的に選挙に参加できない状態となっている。国民民主連盟(NLD)として知られる政党の党首である同氏は、米国人が勝手に同氏の自宅に侵入したことに関し、国家防御法違反により有罪判決を受けたとされている。

 

 理事会は、また、本日、ミャンマーの人権状況に関する特別報告者である、トマス・オヘア・キンタナ氏の任期を1年間延長した。

 

 同国を2月に訪問したオヘア・キンタナ氏は、今月初め、同国政府が政治犯を国政選挙に先立って釈放する意思があるという徴候はない、と述べた。

 

 「2,100人近くの良心の囚人を含む、国民の十分な参加と、国民と政党が幅広い選挙活動に従事できる環境がなければ、選挙は信頼に値しない」と同氏は述べた。

 

 同氏と、いわゆる「ミャンマー友好国グループ」との昨日の会合で、12以上の国家と1つの地域連合が共同して、同国内のより一層の対話を支援することとなったが、それに続いて、潘基文(バン・ギムン)事務総長は、同国について、「すべての人々にとって、安定、民主主義、発展への見通しを高める」ため、「包括的、参加的で透明な」選挙を行うことを訴えた。

 

 ミャンマーに直近で7月に訪れた事務総長は、スー・チー氏がNLDに選挙に参加しないよう求めたことが、選挙のプロセスを傷つけるか否かに関する質問に答える際、スー・チー氏の決定は尊重されなくてはならないと述べた。

 

 潘事務総長は、「ミャンマーの指導者に対し、政治犯を含む、すべての国民の十分な参加、特に、アウン・サン・スー・チー氏の参加がなければ、選挙は、信用に値し、包括的なものであるとはみなされないと伝えた」と述べた。

 

 人権理事会の直近の会合は31日に始まったが、拷問、子どもの権利、その他の問題に関する29の決議を採択して終了した。そのうち20の決議は全会一致で採択された。

 

“Human rights violations in Myanmar criticized by UN body”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=34218&Cr=myanmar&Cr1=