【声明】ビルマ:民主化勢力、民族グループを不当に排除する総選挙の強行に反対し、すべての勢力の参加した民主化プロセスの実施を求める。

2010年4月8日、特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウはミャンマー(ビルマ)軍事政権による選挙関連法について、声明を発表いたしました。

 

 

 

 


ビルマ  

民主化勢力、民族グループを不当に排除する総選挙の強行に反対し、

   すべての勢力の参加した民主化プロセスの実施を求める。

 

ビルマ軍事政権(SPDC)は、今年3月、2010年後半に実施予定とされる総選挙に関連する五つの法律を発表した。しかし、これら選挙関連法、とりわけ、38日に発表された政党登録法は、事実上民主化勢力・民族団体を排除したものであり、全ての勢力が参加した自由かつ公正な選挙の実施とはまったく相いれない。

 政党登録法によると、選挙に参加する政党は軍政が任命する選挙管理委員会に登録をしなければならないが、刑に服している者や、軍政が一方的に「違法団体」と指定した団体のメンバーは、党員となることを許されないとされる(10e)。かつ2008年に軍政が民主化勢力を排除して強行した2008年憲法の遵守が党および全党員に求められ、この要件を満たさないと判断された党は解党処分とされる。既存の政党は法律の施行から60日以内に選挙管理委員会に再登録しなければならず、政治犯など服役中の者を党から除名することが求められる。

これは、最大野党である国民民主連盟(NLD)民主化を求める政党に対し、アウンサンスーチー氏を含む多くの政治犯を除籍して事実上党を分裂させるか、選挙に不参加するかを不当に迫るものである。329日、政党登録法の制定を受け、国民民主連盟(NLD)はすでに2010年総選挙のボイコットを発表している。

同時に、今回の政党登録法では、反乱団体、テロ行為をしていると判断された団体や軍政から一方的に違法と指定された団体は政党登録ができないとされ(7)、軍政から武力弾圧を受け、未だ停戦に至っていない民族団体が選挙から排除される恐れが多い。また、軍政は1908年に制定された「団体違法化法」を濫用し、民主化勢力・民族団体を違法と指定して弾圧してきたが、これら団体とそのメンバーも選挙から排除されることとなる。

これでは全ての民主化勢力及び民族団体の参加により開かれた選挙どころか、民主化・民族勢力をすべて排除したものと言わざるを得ず、民主化に逆行するものというほかない。民主化勢力、各民族勢力はビルマ連邦の主要な当事者であり、民主化勢力、民族勢力を排除した形での選挙では、ビルマの国民和解は到底実現しない。

ヒューマンライツ・ナウは、民主化勢力及び民族団体などすべての当事者の選挙参加を保障するため、政党登録法を抜本改正し、政治犯を構成員とする政党や違法認定された団体、民族団体の排除条項を削除することをビルマ軍政に対して求める。

 

ヒューマンライツ・ナウは、選挙実施の条件として、民主化勢力が求めてきた

    2010年に予定されている総選挙の相当期間前に、アウンサンスーチー氏を含む、約2100人に及ぶとされるすべての政治犯を釈放し、すべての民主化勢力・民族グループが迫害を受けることなく総選挙に参加し、自由な活動ができるようにすること

    少数民族への迫害・攻撃を停止すること

    すべての選挙人、政治犯、利害関係者の参加を保障した、自由、公正、透明な選挙を保障するための選挙法を制定すること

    2008年に国民投票に付された憲法の改正について、民主化勢力及び民族グループとの交渉のテーブルに着くこと

が必要であることを再度強調する。

政治犯の完全な釈放と、集会、結社、表現の自由への抑圧の停止、民族勢力への武力攻撃の停止なくして、人々が迫害を受けることなく民主化プロセスに参加することは不可能である。

「法律の範囲」でしか人権が保障されない憲法のもとでは、すべての勢力が自由に選挙活動をできる保障はなく、議会の1/4を占拠されない軍が占めるとされる憲法の規定は民主主義と相いれず、軍政の支配を永続化することとなりかねない。

ヒューマンライツ・ナウは、国際社会が単なる言葉による非難を越えて、多国間の緊密な連携により、民主的な選挙が実施されるよう外交努力を尽くすよう要請する。

とりわけ、現在安全保障理事会議長国である日本政府には、現状打開に向けた主要な責任があるのであり、全ての当事者が参加できる選挙の条件を確保するため、主導的な役割を果たすよう要請する。