【声明】国際刑事裁判所(ICC)規程承認案・関連法案の閣議決定にあたって(2007/2/27)

日本政府は、本年2月27日、国際刑事裁判所(ICC)規程への加入を行うための同規程承認案及び関係する法案の提出を閣議決定した。

 国際刑事裁判所は、もっとも深刻な人権侵害を伴う犯罪である、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪に責任を負う個人の刑事責任を裁く史上初の常設の刑事裁判所であり、法の裁きを通じて戦争と重大人権侵害の犠牲から人類を解放することを目的としている。日本がこのような重大人権侵害を許さない姿勢を鮮明にし、国際社会と協調して正義の実現を進める動きに加わることは重要である。

 ヒューマンライツ・ナウは、長年待たれていた今回の閣議決定を歓迎し、国会による議決と速やかな加入を求めるものである。

 国際刑事裁判所は、現在アフリカ地域の重大犯罪に取り組んでいる。しかし、私たちの住むアジア地域においても、紛争や重大な人権侵害が過去にも発生してきたし、現在でも続いている。しかしながら、アジア地域において、人道に対する罪、戦争犯罪などの重大な人権侵害に対する法の裁きのシステムが十分に機能してきたとは言いがたい。

 重大な人権侵害に対する不処罰が横行する社会は、将来の人権侵害や紛争に対して脆弱な社会である。ヒューマンライツ・ナウは今後、国際刑事裁判所がアジア地域の重大犯罪についても取り組み、法の支配の実現を通じて将来の紛争・重大人権侵害を防止する機能を果たすよう期待する。

 アジア地域でICC規程に批准、加入したのは、カンボジア、東チモール、モンゴル、アフガニスタン、韓国など少数にとどまっているが、今後加入が進むことを期待したい。

 ヒューマンライツ・ナウは、日本がICC加入後に、アジア地域においてICCの目的と理念を普及し、加入促進の役割を果たすなど、締約国として期待される役割を積極的に果たしていくことを希望する。